百々の散歩は、たいていの場合、朝は相方が、夕方には私が行きます。
雪だろうと、吹雪だろうと、育ち盛り・元気いっぱいの彼女は100%行く気満々。
それどころか、どうやら雪は大好物のようで、走る、埋もれる、まみれる、蹴散らす、食べる....と、とにかく大興奮。
深い新雪のなかを犬かき泳ぎのように進んだり、水鳥が水中の餌を食べるように頭からずぼっと潜り込んでしばらく浮上してこなかったり、氷の玉を転がして歩きながら雪だるまを作ったり。
最近は、せっかく雪が融けて歩きやすくなったところもあるのに、雪のあるほうへ、あるほうへと引きずられて行って、結局私も雪まみれ。
はじめは家から出るのが億劫だった私も、顔面雪だらけにして、興奮しすぎてアヘアヘ笑っている彼女を見ると、思わず「もうちょっと先まで歩いてみようか」と言ってしまいます。
鉛色の雪空。
視界がさえぎられるほどの地吹雪。
風が強い日、雪原にあらわれる波の模様。
突然、雲が晴れて、青空と太陽にキラキラ輝く結晶。
粉砂糖みたいだったり、かき氷みたいだったり、アイスリンクみたいだったり、その日ごとに変わる雪の質。
雪が多かったこともあるけれど、普段は閉じこもっていたところを、無理にも引っ張り出されたので、この冬はいろんな「雪」の表情を見ました。
犬ぞりを試してみたり(プラスチックの家庭用ソリではやっぱりうまくは進みませんでした。パワーは十分なのですが...。)。
南極大陸ごっこをしたり(私が雪に倒れて動けなくなったフリをして助けてくれるかどうかを試す。結果は上にのしかかられて危うくあばらを折られるかと思いました。)。
息が上がるまでダッシュしたり(悔しいことにもう完全に負けます...。ちっこい頃は勝てたのに。)。
この冬は、百々のおかげでとことん雪そのものも楽しみました。
彼女がいなかったら、いつまでも降り続く雪に、ただただうんざりしていたと思います。
去年の春先、ちょうど雪が消えて、芽吹き始めた頃。
3月のショックがまだ消えず、ぼんやりと、景色もよく見えていなかった私の目の前に、突然あらわれた、小さな(当時はね)まっしろな、真新しい生き物。
見るものすべてが新鮮な彼女と並んで日々歩くうち、まわりの風景や季節の色も、徐々に取り戻せてきました。
見慣れた村の景色も、彼女と同じ視点であらためて眺めてみたら、まだまだ知らない美しいところ、発見がたくさんありました。
この一年、彼女のおかげで、だいぶ救われたのだと思います。
あの日の出会いは、まさに授かり物。
そして、一緒にあるいた季節もひと巡り。
雪遊びもそろそろ終わりにして、そろそろ、山菜探しに付合ってもらいたいところ。
百々、これからも毎日、一緒に歩こう。
追記:結局、マイナス20℃の寒さもなんのその、ひと冬、お外で平気な顔して暮らしていました。
北軽井沢に生まれるべくして生まれた子です...。