山は教えてくれる。
そのふもとの大地には、
長い年月の間に積み重ねられた
無数の地層が埋っていることを。
そして同時に、今ここにある風景が、
いつまでも同じようにあり続けるとは
限らないということを。
浅間山麓で拾い集めた記憶の欠片(かけら)を綴った
12の絵と短文集です。
ANGELICA(アンジェリカ)
テキスト:藤野麻子(麦小舎)
イラスト:内藤亜希子(
山角)
デザイン:小林真紀子(
はじまる小槌)
contents:
・扉ページ1枚+イラストカード(カラー&モノクロ)11枚
・B4ポスター(モノクロ)1枚
・テキスト(トレーシングペーパー)1枚
・A6サイズの手製封筒入り
発行日:2014年10月
発行元:maäsa press
価格:1000円(税込)
限定100部
お披露目が遅くなりました。
今年の「BOOK-NiCK」にあわせて作成したzineのご紹介です。
浅間山麓で出会った風景や植物・動物について、12の項目を挙げ、内藤亜希子さんが絵を描き、私が短文を書き、小林真紀子ちゃんがひとつの形にまとめました。
12枚の絵のうち、1枚は大きなポスターに、11枚はサイズもばらばらなカード状になっています。
冊子のように綴じていないので、気ままにめくったあとは、カードとして飾ったり、贈ったりすることもできます。
本のような、そうでもないような、曖昧な形態に、あえてしてみました。
山は違えど、八ヶ岳という同じ「山麓」に暮らす内藤亜希子さん。
彼女が描いた八ヶ岳の絵を初めて見たときから、一度、浅間を描いてほしいとずっと願い続けてきました。
いいですよ、と言ってくれたので、それならば、となんとも図々しく、こんなにもたくさん描いてもらいました。
実際にこちらに来てもらい、浅間山麓を一緒にぐるりと一周しました。それが夏の初めのこと。
山道のあちこちに、シシウドが見事に咲いていて、亜希子さんは「これ、カッコいい!」と夢中になっていました。
そのシシウドの学名(=アンジェリカ)が、そのままこのzineのタイトルになりました。
どんな花だったっけ?と思ったら、このなかに収められているポスターをぜひ見てみてください。
可愛らしい名前とは裏腹に、山麓の野生を象徴するような、猛々しくなんとも格好いい姿をしています。
秋の初めの清里で、描き上がった原画を見たときは、震えました。
私の愛してやまない風景が、私が逆立ちしても、生まれ変わったとしても表すことのできない描写で、そこに描かれていたからです。
嬉しくて、浮かれて頭が真っ白になっている私の横で、いつも冷静な相棒・真紀子ちゃんが、具象化するにはどうしたらよいかを組み立て始め、その場で亜希子さんがさらさらとペンを走らせた文字が、さらに絵に加わりました。
その後も、ものすごく限られた時間のなかで、レイアウトから断裁、封入まで、今あるカタチに仕上げてくれたのは真紀子ちゃんです。
こんなに素晴らしいタッグで作れたことが、いまだに夢のようです。
文章は、あらためて練り上げて書いたというより、これまで山のふもとで過ごした時間のどこかで頭にこびりついていたものを、ちょっぴりずつ刮げ落としたようなものになりました。
浅間山麓を知っている方には、それぞれの記憶と照らしあわせたりしながら。
浅間山麓を知らない方には、いつか訪ねる前の伏線として記憶のどこかに留めてもらえたら嬉しいなあと思いながら、訥々と書きました。
特に定めていたわけではないのですが、こうして書いてみると、どうやらテーマは「山と記憶」ということのようです。
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現状では、「麦小舎」と「山角」でのみ、販売しています。
残りわずかの今季の営業ですが、麦小舎では、この「ANGELICA」と、そしていったんすべて廃番となっている「Forest & me.」バックナンバー(少量ですがお蔵の底で眠っていたものが掘り出されました!)をあわせて展示・販売いたします。
その他、イベントなどで臨時に販売する場合は、お知らせします。
麦小舎の今季のクローズ後、少しだけ通販をしたいと思っていますが、
もし、遠方で欲しいと思われた場合は、メールなどでお知らせいただけたら嬉しいです。