お昼ごはんを食べるのも、食べていないということも忘れて、
いつもはぼんやり空ばかり見てるひとが、
今日はじめて見上げたのは、夕方の金色の空だった。
ありがとう、さようなら、またねー。
最後のお客さんの声が森に響いて聞こえなくなって、
ぺたりとデッキのベンチに腰を下ろす。
からっぽのお腹に、甘い花豆のお汁粉が滲みる。
充足、というのとも違って、どちらかといえば
なにかやり残しているような、心もとない気持ち。
足元に石ころがあれば蹴っ飛ばしてやりたいような。
* * *
最近、おシゴトの休憩時間に、森を越え、川を越え、
遊びにきてくれるオンナノコ。
初めて会った日の、タンバリンを提げた姿が印象的。
ある女性ボーカリストのボサノバをかけていたら
「あ、これ、ウチのおともだち」と、そのコ。
もっと聞いてあげて、と届けてくれたアルバムを聴いている。
甘過ぎない透明な声が、この場所にすっと溶け込む。
ちょびっとの偶然と、目に見えない不思議な力が
ひとを連れてきてくれることがある。
「いいね、ここ、ほんと気持ちいいね」
そのコがそう言って笑ってくれると、ほんとにそうかなと思えて
嬉しくなる。
今度は、遠いブラジルや、世界中のお話を聞かせてね。
* * *
当面、ブラジルへも行けそうもないひとたちは
明日も山小舎にこもり、あたふたとする予定。
あたふたする間に、強い風が秋までさらっていきそうで。
相方、本日、今秋のニット帽デビュー。