ある薄曇りの日。
AM:
お洗濯をパパンと済ませて、たきぎ拾い。
段ボールを抱えて近くの林に入ると、あちらこちらから甘い匂い。
いつもはトゲトゲがひっかかって憎たらしい野バラも、この時期の可憐な花を見ると許せてしまう。
遠くにいると甘い香りなのに、顔を近づけるとスーッとちょっとメントールのようにも香る。
軽井沢の6月といえば、堀辰雄の頃も今も変わらず、この野バラ。
薪を箱2つ分集めたら、今度は畑へ。
相方のマメな手入れの成果ですくすく育つ野菜たちをじっと観察。
トマトやズッキーニはそろそろイッチョマエの姿になってきた。
花豆もぐんぐんツルを伸ばし、サニーレタスはもりもり美味しそう。
今日の私のお目当てはお隣の畑。
茂みをかきわけると、おお、あるわあるわ、赤い宝石。
お隣さんは今はイチゴ専門。いつも羨望の眼差しで眺めていたら、先日、「取りきれないから取ってくれていいよ」とのありがたいお申し出が!
おコトバに甘えて、ひとりイチゴ狩り。
そぉーっと、そぉーっと。まだこれから赤くなる実たちを落さないように気をつけながら。
小粒ながら甘みはしっかり。大事にお裾分けをいただいて、さあて、ジャムを作ろかな。
PM:
やっぱりお出かけしたくなる。
ほんのちょっぴり、旧中山道・追分宿ぶらり散歩。
この春お店をオープンした古本屋さん「追分コロニー」。
一部、古書好きのなかでは、噂になっている模様。
私自身は2回目の訪問。初めてのときは、品揃えに「わわわ」となって冷静に見られなかった。
(本屋さんでも図書館でも、初めて行く場所では大抵こうなる。わーと思うのに頭がついていかないというか、冷静な欲しい・欲しくないの判断ができなくなる感じ。)
今日はまたじぃぃーっと棚の端から端まで舐めるように見ていった。
「私を見て見て!」という背表紙に、何度か手が伸びる。
旅の本から手工芸の本から猫の本から軽井沢周辺の作家本まで。
あー、欲しいのがいっぱい。だのに寂しい懐事情(泣)。
最後に手にしたのは、犬養道子の『私のスイス』(中公文庫、昭和63年初版)。
著者のスケッチもいっぱい。ゆっくり読みたい。
滞在時間の割りにこざっぱりとしたお会計に、お店の方、ゴメンナサイ。
ここのご主人、絶対面白そうなひと。今度は、勇気を出してもっとお話してみよう。
村の古本屋 追分コロニー
営業:木曜から日曜日。
ふ・る・ほ・ん、の暖簾が目印。
骨董の「時幻」などを覗き、すぐ近くのカフェ「ごんざ」へ。
ここもなんとも素敵なお店なのだけれど、取材などで来た以外、ゆっくりお茶をするのは今日が初めて。
回廊のようになった不思議なつくり。お客さんは私一人。
窓辺の一人用席でチャイを飲む。ぼってりとした焼き物で頂く丁寧な味。
あ、「スミレ研究所」(←*訂正しました)の焼き物も置いてある。
BGMでかかってるカントリーっぽい曲の向こうから、テレビのニュースの声や、外で芝を刈る音や、時折かんだかいニワトリの鳴く声もして、なんだかゆる〜っと平和だった。
湿った重たい空気がお店の中まで漂っていて、でもそれが嫌な感じじゃなくて、カウンターで書き物をするお店のママさんと、私だけ。
ぽっかり切り離されたような時間が気持ちよかった。
やっぱり、「お客さん」が(も)いいなぁ...笑。
ごんざ
定休日:火曜、第3水曜
お昼のお食事も美味しそう。
追分宿にはこの他、美味しいお蕎麦やさんや、堀辰雄文学館などの資料館、お寺や公園もあり、情緒たっぷり、夏の散策にはぴったりです。
どんどん切り開かれていく軽井沢より、この時間の止まったような長閑な町並みが美しい。
来月には恒例の「馬子唄道中」も。
夏の追分、お薦めです。