すとん。
と、風邪の罠におちてしまった。
木曜の夜、寝るときはなんともなかったのに、金曜の朝起きようとしたら、頭と喉に鈍痛、全身に低周波電気ショックのコードをつけられたようにゾクゾクぞわぞわ、動けない。熱は中途半端に37℃代後半。
寒くたって全然平気ですっ、と方々に空元気(というか実際元気だったのですが)を振りまいていたバチが当たったか。
今回はこのゾワゾワが特に辛い。痛い、と、むず痒い、の間のような、むず痛さ。
風邪薬のCMに出て来るような「細菌クン」が槍を持ってツンツンしている図が浮かぶ。そこに立ち向かう私の「細胞防衛軍」。必死の攻防。
やれー、いけー、負けんなー、と喚き悶える私に、一緒に寝ていた麦が気味悪がって逃げ出そうとする。いやー、見捨てるなーと抱え込む。ここでも必死の攻防。
そこから3日3晩、床ずれができそうなほど寝続けた。
風邪で寝込んでいるときの心細さは、子供の頃と変わらない。
「休日の朝寝坊」とは明らかに違う感覚。ほんとはここにいてはいけないのにという後ろめたさと、置いてけぼりをくったような焦燥感。
家の中も外もやたらとシンと静まり返り、カケスのような鳥のジャージャーという耳障りな鳴き声だけが聞こえる。
そんなとき、麦の存在には助けられる。
ヤツは別に心配している訳でもなし、ただ寄りかかれる暖かい肉のかたまりがあることがコレ幸いとばかりに、くの字に折り曲げた私の体にぴたっと沿うように丸まっているのだけど、そのちっちゃなふわふわむくむくの固まりの存在が慰めになる。
風邪で心まで弱っちくなっているせいか、この子が冷たくなってしまったら、という余計な心配までして涙ぐみそうになり、むぎゅーっと締め付けて、また嫌われる。
ようやく私がベッドから出られるようになったら、ふん、一緒に寝ないのかい、という顔をして、自分だけぷいっと潜り込む。
私も私で、さっき抱きしめて泣いていたというのに、今は勢い余ってハシゴに駆け上り降りれなくなってオロオロするヤツを見てけらけらと笑っている。
相変わらず距離は近くて遠い。愛しのロクデナシちゃんなのだ。
+ + +
2月から弾みをつけていくはずが、しょっぱなから転けてしまった。
3日間、一歩も動かずにいた自分のカラダが、ミシュランタイヤの白いむくむくの着ぐるみを着ているようにもっさく感じて、さっき、うおぉぉぉーとスコップを振り回して雪かきをした。(さてこの行動は吉と出るか凶と出るか...。)
雪はさらさらと、しかしみっちりと降り続き、朝から20cmほど積もる。
今日はまだまだ行きそうです。