2日からみっちり仕事に出かけた相方には申し訳なく思いつつ、一人のんびり過ごす三が日。
いっさいひとけのない森に囲まれて、降ったり止んだりの雪を見ながら、静かに過ごすお正月もなかなかオツなもの。
さっそく今年の読み初め〜(とは言わないか)と、数冊の本を抱えてコタツに潜り込む。
せっかくだから何かお正月っぽいモノを読み返そうと手にしたのが、青木玉の『小石川の家』。
途中やっぱりお正月の描写があって、それはやっぱり幸田家ならではの昔ながらの「ザ・お正月」な風景。
露伴先生のもとには、元旦からひっきりなしに新年の挨拶客がずらり列をなす。
お屠蘇や肴を客間に運んだり下げたり、玄関口で取次ぎをしたり、母親の文さんは当然ながら、まだ小さい玉さんも目も回る忙しさ。
そんな大騒ぎのさなかにも、お稽古初めの日があって、玉さんは書き初めをさせられる。だがどうしても苦手でうまくいかない。そんな時、露伴以上に厳しかったという文さんは、しっかり腰が据わっていないからだ、と玉さんを後ろから蹴っ飛ばしたという。
このシーンを読みながら、小学生の頃の冬休みを思い出した。
私も習字は苦手だったから、書き初めの宿題をたぶん冬休みぎりぎりまで引っ張って、始業式直前に泣く泣くやったような記憶がある。
我が家の場合、習字の監督は父。書き初めとなると(蹴飛ばしはしないまでも)途端に厳しかった。
普段書く字はそれなりにキレイな方なのだが、筆を持たされた途端、萎縮してしまう。
「キレイに書こうとするな。伸び伸びとはみ出すように書け」と言われるのだけれど、どうしてもちんまりしてしまう。
嫌だ嫌だと思うから、なおさら文字は縮こまって寸足らずになったりする。
子供心にも、堂々としたいい字だとは思えなかった。以来、習字は苦手なまま。
今思えば、何事も決められた枠の中で、無難にソツなく、体裁よくまとめようとする娘の資質を見抜いて、矯正しようとしたからなのか、どうなのか。
とにかく書き初めは怖かったなぁと憶えている。
そうしてズルズル引っ張り出すように家族で過ごしたお正月のことを思い返していたら、やっぱりお正月は大勢で過ごすに限るな...ということに気づいてしまった。
一人の時間が急に味気なく感じられ、そんな思いを紛らすように、玉さん以外にも次々に乱読。
本読みに始まった一年。
今年は、本に縁のある年になるのでせうか。