その3:「パンとカフェをめぐる中山道ひとり旅」の巻
昨日は、用事があって一人で山を降りたついでに、前から行ってみたいと思っていたお店を目指す。
場所は東御市御牧ヶ原。佐久の市街を抜けて、平べったい田んぼの間の道(中山道です)から、徐に急勾配になる細い山道を登ると、緩やかな起伏が続く御牧ヶ原の丘に出る。田んぼや貯水池、ポツポツと民家があって、森や林などはなくて、つるんとした明るい丘で、見渡す景色が広々している。明るくて温暖でいいなぁ。
目指すお店は、わかりにくそうなことは覚悟の上だったけど、ホントにわかならくってグルグル迷って、途中クロネコヤマトのドライバーのおばちゃんが親切に教えてくれたのは別のお店で、それでさらに遠回りとなり、最後は野生の勘だけを便りに接近して、近くの方に確かめて、ようやく辿り着いた。
その名も『わざわざ』というパン屋さん。その店名を付けられたら許すよりありません(笑)。うちもそうしたらよかったかな。
新築されたおうちの一画がお店になっていて、パンのほかに雑貨なども置かれている。この日はさらに「フリマ」開催中で、オシャレなお洋服もわんさとあった。
少し早めの時間だったけれど、ショーケースにはつやつやしたパンがいくつも並んで、見ている間にも追加される。ショーケースの向こうは家族のプライベートなお部屋になっていて、小さなお子さんの声もする。お店然と気取ってないとこが、かえって居心地いい。どれにしようかなと思っている間にも、常連らしき人が次々やってくる。
自宅用とお土産用に、カンパーニュやベーグル、スコーンを少しずつ、と委託のジャム(隣の山の方が作っている)を。車の中が、ほかほかの芳ばしい匂いでいっぱいになる。
さっそく今朝の朝ごはんに、ショコラオランジュというハード系のパンをスライスしたのと、キャラメルナッツベーグルをいただく。小麦や使ってる素材の味がはっきりして(よく全体的になんだかわからずもわわーんとしたパンもあるけど)、理屈抜きで美味しい♪
訪ねた人みんなが書きそうなことですが、"わざわざ"行く甲斐はある!(笑)。
ブログからも一生懸命な毎日の様子が垣間見えて楽しいのです。勝手にお薦めしちゃいます。

● わざわざ:http://www.waza2.com/index.html
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ここまで来たなら...と、中山道に戻って車で5分ほど進んだ先は旧望月町。
望月といえば、ご存知このカフェ。だいぶ久しぶりな訪問。いつ訪れても、ご近所さんたちで賑わっている。
スープとサラダがつくお昼のセットを頼んで、ぬぼーっとぼんやり。居心地いいなぁ、気持ちいいなぁ。なんでここはこんな気持ちがいいのかな。
なんとなく気が付いた。ここは「音」がいいのです。
店主セレクトのBGMはもちろんかっこいいけど、それ以外の音がいい。
誰かが動くたびに木造の床がきしむ音。キィーっと開け閉めされる扉。古いボンボン時計のコチコチいう音。奥のキッチンの深い流しにジャーと水が流れる音。珈琲豆を挽く音。大通りを車が走る音。お客さん同士が交わす会話と笑い声。
古い民家だからいろんな音が響く。でも不快じゃない、むしろ心地いい。
(途中で、マスター相手にお話していたお喋り好きそうな男性客が、店内の古いピアノを見つけて「ちょっと、いい?」と自信ありげに弾き始めたら、それが訥々な「いとしのエリー」で、思わず肘がカクンとなっちゃったけど、それすらも許せちゃう包容力。)
ざわざわとしたカフェ特有の音(山の中のうちの場合はまた少し違うものだけど)を聞いていたら、無性に、早くまたお店を再開したくなってきた。
母屋のお隣の珈琲豆焙煎小屋兼ギャラリー「天保堂 TENPODO」もイカしてます。小屋好きなもので、深々覗き見。

● YUSHI CAFE:http://www.yushicompany.com/yushicafe/index.htm
おでかけ記、以上。
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そんなこんな、のらりくらりしているうちに、1月も終わり。
お店や畑をやっている頃のひと月にくらべて、2倍くらいのゆっくりペースに感じられる。
毎日、無我夢中にしていないと、時間ってこんなにノロノロ過ぎるものなのか。
無我夢中の頃は、この時間が喉から手が出るほど欲しいものなのに。
根が小市民なので、そろそろ気持ちが焦りだす。休んでなんかいられない。
それでも1月は、これから始まる諸々なことの種まきが出来た。
今春から始めたい古本販売のこと。
それに伴う「小屋」の整備のこと。
フォレミ次号のこと。
春に発刊される某誌にコラムを書かせていただくおシゴトのこと。
年内に行なえるかもしれないイベントのこと。
それから.......
ずっと心の奥で暖めてきた"ある企画"について、ひょんなタイミングからプロの先輩編集者の方と相談する機会が持てた。
自分の中でもまだまとめきれていない漠然とした内容だったにも関わらず、相手の方はまっすぐに受け止めてくれて、丁寧で暖かくて誠実なアドバイスをくれた。これまでの人生で一、二を争う嬉しいメールでした。
これで、あやふやだった自分の気持ちもはっきりしてきて、そこに向かって本格的に準備してみたいと思っています。
まだまだ、昨日の夜の明るいお月様のように遠い目標ですが、カラマツの木にじりじりよじ登るように、目指していきたい。あ、まずは木登りのための準備運動から必要かも。
種まきが終われば、少しずつ忙しい日々がやってくる。
今日はひとつ「ウーン」と大きな伸びをして、来月(明日)からじわじわ走り始めます!
(オリンピックも始まっちゃうしねー)