★8月12日(木)〜15日(日)の期間、16:00ラストオーダー、16:30クローズとさせていただきます。
なにやら夏の喧噪にのまれて、ブログの更新もおろそかになりすみません。
(代わりに、あっちの方ではつまらないことチョコチョコ呟いていますが...)
毎年、毎夏、書いているように思うけれど、
毎年、毎夏、新鮮に驚いてしまうのです。
この町の変貌に。
つい数週間前までひとっこ一人歩いていなかった道。
今は、県外ナンバーの車がひしめきあい、テニスラケットを抱えた一団や、虫取り網を振り回す子供を連れた家族が、その間を縫うようにあちらにもこちらにも。
いつもと同じ感覚で出かけようとすると、渋滞に巻き込まれ、みっちり動けなくなってしまう。
スーパーにも、コンビニにも、直売所にも、人人人。
間違いなく、普段の人口の10倍(それ以上?)の人の密度に、温度と湿度の高さもあいまって、町がゆらゆら霞んで見えます。
これだけの人がどこに収容されているんだろう?
北軽井沢はそれでもまだのどかなほうで、ふもとの軽井沢に至っては、突如よその国の占領下に入ったか、ワールドカップか万博でも開催されているのか、と思うほどの騒乱ぶり。
こうなると、地元の人たちは、一部「儲けたるでー」と腕まくりに舌なめずりの威勢のよい人種を除いて、みな「やれやれ、この時期がきちゃったか...」というウンザリ顔で、目配せを交わします。
もちろん、大きな声では言いません。それは、この町や村が「避暑地」や「リゾート」という看板を背負っていて、ある意味ではその看板のもとに成り立っているようなところがあることを、十分わかっているからです。
わかってはいるけれど、やっぱりふだんのんびり牛が草を食むスピードで流れている日常生活のなかに、突然ズンズンズンズンと大音量の16ビートをカーステレオから響かせるスポーツカーが割り込んできたり、畑で農作業中のところに車を横付けされて物珍しそうに写真を撮られたり(今日実際にあったこと!キャベツの除草をしてただけなのですが...)、家の庭先で肝試しをされたり(これもよくあります。そりゃ確かに真っ暗だけどもさ)すると、ナンダカナーという気持ちになっちゃうのも正直なところ。
人間、いつものペースを乱されちゃうことが好きではないのですね。
かくいう私も、元はこの時期、よそから「押し寄せてきてた組」出身のくせに、もうすっかり地元民気取りで「まったくー」なんて、言っちゃってるわけです。(日常組の非日常組に対する妬みもあるのでしょうね。)
悲しいかな、双方の間の温度差は大きく...。
ほとんどの「よその人」は、別荘の管理人やホテルのフロント以外の「うちの人」と、言葉を交わすこともなく、一定の期間を過してまた帰ってしまう。
小さな町にこんなに人が溢れているのに!
この時期がくると、どうしても違和感を感じてしまうのは、その空々しさや空しさのせいかもしれません。
違和感のもうひとつの理由は、年々変わりつつある「よその人」の滞在風景。
滞在時間がどんどん短くなっているように思います。
昔はひと夏をまるまるここで過すという別荘の人も多かったのですが、今では別荘があっても長くて一週間ほど。2泊やそこらでとんぼ帰りという場合も。(たしかに今のご時世でそんな悠長に休んでいられる立場の人なんて、ごく僅かですものね。)
その別荘組も少しずつ数が減りつつあり、代わって、新幹線や、土日に便利な高速道路もできたため、1泊や日帰りでぶらりと遊びにくる観光組が明らかに増えているように感じます。
その方たちは、あらかじめ回るべきところも分刻みでスケジューリングされているから大忙し。それはもはや避暑でもリゾートでもないお出かけです。
もちろん、旅のスタイル、滞在のスタイルはさまざま。ぶらりお出かけ気分で訪ねてくれてもいいと思います。
でもひとつ言えることは、北軽井沢という町の良さは、ある程度ゆっくり時間をかけて過してもらえないと見えてこない、ということ。
ここには、とりたてて見るべき名所やレジャー施設などは何もありません。
あるのは、山と、森と、林と、草原と、花と、鳥と、光と、風と。
そんな、ガイドブックに載せようもないものばかり。
駆け足滞在の人たちの眼に、鼻に、耳に、それらはちゃんと届いているのかな、と、大きなお世話ながら時々不安になるのです。
だってそれらを楽しんでもらえなかったら、「なんか、行ってみたけど、なんにもなかったよ」と言ってお仕舞いにされかねないのだから。
とはいえ、それを訪ねてくる人の側だけに求めてもいけません。迎える側のほうにも、ここの魅力に気づいてもらえるような配慮やさりげない導きが必要。
冒頭に書いたように「やれやれ」なんて嘆いて距離を置いているようでは、なにも届かないし、見つけてももらえない。
でも、よくあちこちの地域で見る、イベントなどを通して無理によそとうちの人を結びつけようとしたりすることや、いいでしょいいでしょ?と強制や押しつけなようなこともしたくない。あくまで自然に、自発的に見つけてほしい。わがままですけど。
なかなか糸口を見つけられないままいつもこのシーズンがくると、自分たちも当事者として、このなんともはがゆい状態に(別の意味で)やれやれ、と呟くことになるのです。
当面、自分たちがこの場所でできることとして選んだのが、駆け足の人たちの足を一瞬でも止めることのできるような居場所をつくる(カフェをつくる)ということでした。
あえて何もない場所で(本というオマケだけは置いてあるけれど)しばらくぼんやり過してもらうことで、北軽井沢という町の「なにもない良さ」の片鱗だけでも感じてもらえたら...。
4年間やってみて、少しずつだけれど、これもいいねと思ってくれる人が増えつつあることを嬉しく感じます。
けれど同時に、ここに来て、この場所すらも駆け足コースの一部に逆戻りしてしまっているように思えることもあったりなかったり...。(その意味では、先日掲載して頂いた雑誌記事なども、駆け足旅をお薦めするようなところもあって、自ら方向性を誤ってるじゃん!と反省。ご紹介いただいたこと自体はとてもありがたく思っています。)
悶々と思い悩むこともあるのですが、でもだからといって元々のスタイルを変えてしまうのではなく、やっぱりそこに固執していきたいとも思います。(たとえそれが一部のお客さんのニーズと違っていたとしても。)
いろいろなことの解決策には程遠いけれど、まずはここから始めるしかない。
そしてそこから少しずつ、自然発生的に、何かが動いて繋がっていったらいい。
明日から特別4日間の連続営業の前に、長々と何を書いているのやら。
けれど今だからこそなんとなく原点を確認しておきたくなったのでした。
お付合いさせてごめんなさい。
お盆だからといって、特別なことはあまりありませんが(ハンバーガーの特別メニューはある、ようです!)、駆け足旅のひとも、のんびり滞在の方も、喧噪から逃げ出したくなったらどうぞお越しくださいな。
明日は台風の余波がありそうですね.....お気をつけて。