「森を目指す旅、森で過ごす時間」をテーマとした麦小舎発リトルプレス
『Forest & me.』(フォレミ)vol.4 ができました。
昨年秋の別冊『森で読む本120冊』から約1年。通常のシリーズでいえば1年半ぶりとなる第4号です。
大変お待たせ致しました!
当初の予定では今春の発刊を目指していたのですが、予定外の出来事や準備不足もありスケジュールを再設定。その上でもさらに薄氷を踏むようなギリギリのラインで踏ん張りながらのようやくの完成。
個人的(関係者を含め)には、これまで以上に、ひときわ感慨深い1冊となりました。
(このあたりのウラ事情についてはまた別の機会に...笑)。
感慨深い...といえば、今号の特集について。
この新しいフォレミを通じて、前々からの一つの夢を叶えさせてもらいました。
特集タイトルは
「ものがたりの生まれるところ」。
なんだか漠然と抽象的に聞こえてしまうかもしれませんが、この「ものがたり」という言葉は私にとって大切なキーワードのひとつで、ずっとこのことをテーマに取り上げてみたいと思って来ました。
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「ものがたり」とは、一般的には、小説や絵本のなかで繰り広げられる空想上の物語のこと。
小さい頃から絵本や童話が大好き。夢中になって貪り読み、自分を登場人物に重ねてみたり、はたまた幼い手で"物語らしきもの"を書いてみたこともあるほど、本のなかの物語は私にとって切ってもきれない大切な要素。
そして、大人になり、この北軽井沢という場所に暮らすようになってからは、もうひとつ別の「ものがたり」が、日々を過ごす上で大切なことのように思え始めたのです。
その「ものがたり」とは、慌ただしく過ぎる日常の影に潜むもうひとつの時間や空間のこと。
誰の傍にもたしかに在るのに、ふだんは蓋をして鍵をかけてしまっている、静かで穏やかで、ちょっぴり懐かしい匂いのするところ__。
私にとっては特に小さな頃からの思い出深いこの静かな村の森のはずれで暮らすなかで、時折ふと、そんな「ものがたり」の気配に触れることがあります。
それはハッキリと形として表現できるものではないのですが、その気配に触れた瞬間、じわりと温かいものが胸に広がって、いつもとは違う「優しいほう」の自分になれるような気がするのです。
そしてそんな「ものがたり」の種は、案外、身近なところにもたくさん眠っているのでは...?
そう思えたことが、今回のテーマに決めたきっかけでした。(テーマを決めたのはかれこれ一年以上前のことです。)
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麦小舎を取り巻く数ある「ものがたり」の中から、今回、特集として選んだのは大きく3つ。
ひとつ目は、詩人・童話作家の岸田衿子さんが見つめた北軽井沢について紹介する「だれもいそがない村のものがたり」。
岸田衿子さんは、私がかねてからお会いしてみたかった敬愛する女性のひとり。
麦小舎から歩いても30分ほどの別荘地のなかに長年住まいを構える岸田さんは、ここ北軽井沢の自然を誰よりも愛し、この村を題材とした詩や絵本、エッセイを多数発表されています。
その美しい詩やエッセイを通して、私の大好きな北軽井沢という場所のことを、もっと広く知ってもらいたい...と、直接、岸田さんにお願いし、何度かお会いして貴重なお話を伺うことができました。
冒頭に書いた「夢が叶った」というのは、この出会いのことです。
幼い頃から岸田さんの絵本や童話で育った私にとっては、北軽井沢をめぐる「ものがたり」に出会うことと同時に、自分の原点をおさらいするような大切な出会いの機会を頂くこととなったのですが、それについてもここでは書ききれないことばかりですので、あらためて別の場で感じたことをお伝えしたいと思います。
ぜひ、これまで岸田さんをご存知ない方にも、時に耽美な、時にユーモアたっぷりな、独特の物語の世界を知って頂きたいと願っています。
ふたつ目は、トンテン、カンテン...、毎日元気な音の響くお山の工場から生まれる「ものがたり」。
そう、麦小舎のお客さんにはお馴染みの、「かなもの雑貨kichi」さんのご紹介です。
kichiこと中村智美さんの作るカナモノを初めて見たとき、ハンマーで手打ちされた表面のくぼみ一つ一つに、彼女の物語が詰まっている、そう思えました。
偶然の出会いから3年ほど。その間、思いがけない転機や変化を乗り越えて、彼女の作り出すモノは年々、力強く美しく成長してきているように思います。(なんて私が書くと偉そうなのですが。)
智美さんにとっての「ものがたり」とは、まさに作品づくりそのもの。作品(=物語)の生まれるところを見たくて、お隣のお山のふもとの工場を訪ねてお話を伺ってきました。
みっつ目は、軽井沢にある北欧雑貨ショップ「NATUR」の須長さん夫妻に教えていただいた、スウェーデンを巡るおはなし。
実際にスウェーデンに暮らし、ものづくりの文化を肌で感じたおふたりがセレクトする商品には、それぞれにストーリーが詰まっていて、お店に行くとそんなお話が聞けるのが私にとって何よりの愉しみ。
「NATUR」の定番アイテムや、スウェーデンに伝わる物語などの紹介を通して、おふたりがモノづくり・モノえらびに際して大切にしていることを教えて頂きました。
軽井沢に来た際には、ぜひ足を運んでもらいたい、本当に素敵なお店です。
このほか、とっておきのゲストによる「ものがたり」にまつわるコラムなども__。
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ここでひとつひとつ紹介していたらキリがないのですが、ついつい思い余って書き過ぎてしまいそうです!
これ以降の「ものがたり」のつづきは、実物のページをめくってご覧頂けたら...と思います。
相変わらず「ワタシ」が詰まった偏りある小さな冊子ですが(なにしろタイトルが「森とワタシ」なものですから!)、ひとり(...いや10人、...いえもう一声っ!←願望)でも共感し、楽しんで下さる方の手元に届くことを願ってやみません。
自画自賛、身内自慢のようでお恥ずかしいですが、デザインもいつも以上にイイ!のです。
デザイン担当はおなじみの相棒Mちゃん。先日、晴れて"かあちゃん"となり(オメデトウ!)、彼女にとっても新しい「ものがたり」のスタートを記念する号となっています。
また、友人のイラストレータ Y・Hくんのスケッチ画もページに華を添えてくれました。
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そんなこんな、なフォレミ最新号ですが、お披露目は今週末の「
もみじ市」から。
ちょうどタイミングが重なったため、えいこらしょ、と河原まで運んで"行商"させて頂きます!
翌週からはもちろん麦小舎の店舗でも販売しますが、お取り扱い店での販売と通販につきましては11月上旬からを予定しています。あらためてお知らせしますので、もうしばらくお待ちください。
さてさて、その
「もみじ市」。
今週はいよいよ仕込みなどの準備におおわらわで、家中が騒然としています!
明日、すべての荷物を揃えて、深夜に出発。緊張が高まってきました。
今のところ、お天気が晴れマークなことにひと安心。
でもまだまだ、あんなことこんなこと、しなければなりません。もうひとふんばり!
出店者紹介ブログでも、素敵にご紹介いただき、嬉し恥ずかし。
http://momijiichi.com/blog/1551
(とびきりキュートなモデル、Hちゃんに注目です!)
奇しくも、「物語」をテーマにまとめて頂いていて、タイムリーというかなんといおうか。
当日はおそらくそんな素敵な風情とはかけ離れたドタバタ喜劇になりそうなことが強く予想されるため、幻滅されないとよいけれど.....(汗)!
詳細については明日、もう一度更新したい(できれば)と思います!