前に、今年は全然梅雨らしくない、と文句を書いたら、「なにくそ、このやろう」とばかりに、近頃、本格的に雨....
今夜はまた北軽の梅雨らしく、10℃そこそこで肌寒い。
こんな夜は読書です。

今、読んでいるのはコレ→「古本道場」(ポプラ社)。
作家の角田光代がフリーライターの岡崎武志から指令を出される形で、各地の古本屋さんを巡り、あんな本に会った、こんな本を見つけた、と綴ったのんびりたらりんとしたエッセイ。
のんびりたらりんと読んでいたら、果たして、山里暮らしでしばらく忘れていた、私の中の「古本漁り」の熱がうずうず甦り始めてしまいました。
今思えば、東京にいた頃は、よくもまあ、古本屋さんが好きでした。
会社帰りにも、休みの日のデートでも、3日に一度は覗いてみないと気が済まなかったものです。
この本にもたくさん出てきました、懐かしい名前が。
自宅から自転車で10分ほどにあって、休日のサイクリングの目的地にしていた、田園調布の「田園りぶらりあ」。
いざ、と、トートバッグの肩紐をキュッと握って、気合いを入れて向かう、神保町の各店。(特に好きなのは、この本の冒頭にも出て来る児童書専門「みわ書房」。)
古本がオシャレなものだと世に知らしめた、今や説明不要の代官山「ユトレヒト」に、渋谷の「フライングブックス」。
中央線沿線の街は、ここをシマとする角田氏とは対照的に、私にとってはなんとなく縁遠かったけど、古本屋さん巡りを通じて一気に身近に感じたものです。
西荻窪の「音羽館」は、私も大好き。看板キャラの音羽ちゃん、可愛い。
この他にも、会社のあった自由が丘の北口、南口それぞれにあったお店や、渋谷から表参道間の青山通り沿いにあった店、偶然降り立った私鉄沿線の駅で出会う商店街の中の昔ながらの店。
古本屋から漂って来る匂いを嗅ぎとろうものなら、ふらふらと立ち寄らずにはいられない性分。
新刊書店よりも古本屋が好き。
これはやっぱり「思いがけない出会い」に興奮できるからだと思います。
壁面の棚の上から下まで、また平積みされてて今にも雪崩が置きそうな山を、腰を屈めて顔を真横にしながら、隈無く視線を走らせて、そこで「おっ」と出会う瞬間。
「コイツはここで私を待っててくれたんだな〜」と独り合点な喜びにニヤニヤし、もっともっと、と喰いこんで行きたくなる。
だけど、そんな出会いはそうある訳でもなく、時に本たちは揃いも揃って知らんぷりを決め込んだりする。
(大体、足を踏み入れる前から、そういう予感ってうっすらあったりする。)
私は古本屋さんで、武田百合子を、金井美恵子を、内田百ケンを、串田孫一を知りました。(古本で興味を持って、あらためて新刊に戻ったりしました。)
うさこちゃん以外のディック・ブルーナや、プロヴェンセン夫妻のイラストや絵本にも出会いました。(こちらは主にネット書店を通じてですが。)
読む、というよりは、なんともいえない味わいや温もりを手に入れることが、古本買いの魅力。
北軽井沢に、いえ、軽井沢まで含めても、古本屋さんがないことが、今の暮らしの不満といえば不満。
(軽井沢には伝統ある「りんどう文庫」がありますが、整理のため1階のフロアに丸々あった100円均一本がなくなってからは、魅力が半減...)
誰か古本屋さん、作ってください。
あ、やっちゃえばいいのかな。

ちなみに我が家の本棚(↑)
昔からの憧れの壁一面の本棚を目指し、DIY青年のお尻を叩き中。(まだ予定の半分以下。)
新刊本と古本(もしくは所有しながら古本味を帯びてきたもの)が半々くらい。