騒々しい職場から逃げ出したくなったとき。
町中をくるくる回り歩いてクタクタになったとき。
私の避難場所はここです。

軽井沢町の図書館は小高い山のふもとの、
急な傾斜地にすべり落ちそうに建っています。
自転車の学生や、徒歩のおばあちゃんとかには
かなり意地悪な立地。
冬場もあまり近付きたくありません。
でも、そんなふうに「引っ込んでいる」分、
夏の混雑時にも街の喧噪は別世界の
清鎰な静けさに満ちた、
時間のとまったような空気が漂う不思議な場所です。
初めて来た時、一目見て気に入りました。
図書館にはけっこううるさいほうで、
引っ越した街でスーパーや郵便局の次にチェックするのは
近隣の図書館の場所。
蔵書数もさることながら、その図書館の「居住まい、たたずまい」が
かなり重要なポイントになります。
区立や市立といった公共の施設だと、だいたいの場合が
ねずみ色のスチール製の本棚に、閲覧スペースには折り畳みイスや
所々破れて中からスポンジがのぞいちゃってるような
ビニールのソファが無造作に並べられたりしていて、がっかり。
なのですが、軽井沢町立図書館は、私のオトメ?心をくすぐりました。
なにしろまず、入口のこの「靴箱」がかわいい!

館内はけっして広いとは言えませんが、
学校の図書室を思い出すような、懐かしい木製の本棚にテーブルと椅子。
大きな街の図書館のように、閲覧席が受験勉強の学生たちに
占拠されることもなく、いつもがらんとして、
白いカーテンが揺れる窓越しに、周囲の森からの蝉の声だけが
響いています。

若い人の姿はあまり見かけず、ベストセラーの新作なんかの競争率も
低いのか、「新着本」の棚には「お!」という本が
すぐ見つかったりします。
この日の「みっけ本」は、角田光代
「人生ベストテン」と
いしいしんじの
「ポーの話」。
どちらも本屋さんで気になっていたばかり。で、ニンマリ。
そういえば、前に借りてる分が延滞になっていた気がする....と
たまに話をするカウンターのかわいい司書さんに
おそるおそる打ち明けると、借りていいですよ、とニッコリ。

この街に住んでいていも、
実は図書館の存在を知らない人も多いみたい。
おすすめですよ。
あ、でも競争率は低いまんまがいいかも....。
(サボレナクナッチャウシ。)