この春以降、「本」というキーワードで、2冊の本でご紹介いただきました。
発行からだいぶ経ってしまったのですが、
「フロム・リトルプレス」(土澤あゆみ著/三空出版)は、リトルプレスという媒体を、作り手の「想い」に着目して、インタビュー形式で紹介する一冊。
今をときめく(?)20余種の冊子のなかに、『Forest & me.』もピックアップして頂きました。
「てくり」や「ユルリナ」、「旅粒」「そらあるき」「街並み」などなど、自分自身も読み手として敬愛し、愛読する本に混じってフォレミが並んでいること自体、なんだか不思議な気持ちがするのですが、あらためて「なぜ作るの?」という問いかけに、「ホント、わたし、なんで作りたいんだろう...」と見つめ直す、よい機会をもらったなぁと思います。
誌面上でもダラダラとお喋りしている割には、答えのようなものには辿り着いていないのですが、(ふだんのお喋りっぷりがそのまま著わされていて恥ずかしい!)ほかの作り手の方たちも、毎号、試行錯誤しながら作り続けていることなどを読み、その答え探しの「過程」そのものが、リトルプレスを作る理由だったりするのじゃないかしら、と、ふと気づきました。(少なくとも私にとっては。)
著者の土澤さんとお会いしたのは、まだ寒い2月頃。新宿の「ブルックリンパーラー」で待合せして。同世代で、ご自身でも音楽にまつわる小冊子を作られているということで、私もすっかりうちとけてとりとめもないことまでお話してしまいました。
だもので、答えも、アドバイスらしいものも、何もお伝えできていませんが(汗)、あえてここで付け加えるとしたら、リトルプレスなんて(という言い方は語弊があるかもしれなけれど)ほんとに自由で遊びの世界。
なにか伝えたいという想いさえ湧き上がってきたなら、まずは出来る範囲で表現してみたらよいのでは。初めはその想いがぼんやりとカタチのないものだったとしても、作り続けるうちに見えてくることもあると思います。
もちろんはじめからしっかりとコンセプトやテーマががっちり決まっていて、とことん細部にまでこだわって作るという方法もあるでしょうが、私の場合はどちらかといえば"緩やかな流れ__その先に何があるのか自分にもわからない__に乗っていく"感じです。
(フォレミのことはともかく...、)リトルプレスに限らず自分なりの表現方法を模索している人にとっては、ヒントや刺激に出合える一冊かもしれません。
土澤さん、貴重な機会を、どうもありがとうございました。
もうひとつ、こちらは出版されたばかり。
「伊藤まさこの雑食よみ 日々、是、一冊。」(伊藤まさこ著/メディアファクトリー)は、雑誌「ダヴィンチ」の人気連載に加筆・編集を加えてまとめられたもの。
昨年、まさこさんがこちらへ寄って行かれた際に、本棚で手にした一冊がご縁で、本に出合える場所として「麦小舎」もご紹介いただきました。
その本とは、私も大好きな串田孫一さんの「旅の絵本」。山についてのエッセイに、串田さん自身のコラージュ風のイラストや詩が加えられたこの本は、装幀といい、手触りといい、すべてが渋くてとっても好み。
数年前、「手紙舎」のモダンクラシックさんの本棚で出合って、迷わず買い求めたものです。
そんな本が巡り巡って、本紹介の本でまたあらたな繋がりを生んで...。
昨年秋、あらためて取材としてお迎えしたときにも、まさこさんと一緒にいらしたカメラマンの公文さんとも、思い出深いエピソードも生まれました。
本を通じて繋がったり、新しく生まれたりする小さなお話たち。
この本は、まさこさんにとってのそんな本を巡る個人的なお話を連ねたものですが、評論家としてではなく、一人の女性として、母として、一読者として、紹介される気に入りの本やまつわるエピソードは、私にも思い当たりや重なるものも多く、そうそう、と頷きながらぐんぐん読み進めてしまいます。
折しも、恥ずかしながら私も「本のある毎日」についての小さなお話を新しいブログ上で綴っていこう、と準備を進めているところ....だったりしたもので、「やっぱり本を身近に感じられる日常って素晴らしい!」と励ましてもらえたような気分。
伊藤まさこさん、公文美和さん、編集の赤澤かおりさん。素敵なご紹介、どうもありがとうございました。
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現在発売中の「BRUTUS」も「本屋」特集。
フォレミのお取扱いでお世話になっている品川の「PAPER WALL」や名古屋の「ON READING」、友人の「古書玉椿」など、全国の個性派書店が、新刊・古書を問わずに羅列されているのがタマラナイ!
全国、北から南まで、地方の街にも魅力的な面構えの本屋さんがこんなにもがんばっている、と思うと、日本もまだまだ捨てたもんじゃないなーと、なぜか元気と勇気が湧いてきます!
標高1100m、週末のみそっと扉を開く山小屋の本屋「キジブックス」も、良い本を揃えて、訪れてくれた人に愉しみや出会いをプレゼントしたいなぁ。
古本稼業は、地道な一歩一歩だけれど、がんばります!
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【追伸】
*コアな読者層に支持される古本屋巡りサイト「
古本屋ツアー・イン・ジャパン」。5月14日の記録になんと「キジブックス(麦小舎)」が登場。中身は.....衝撃的です!とにかくご覧ください。
*しばらく放置されてしまっていた「
キジブックスオンライン」も、あらためて始動です!今後は毎週日曜日、更新していきます。時々、掘出し物があります。どうぞお見逃しなく!