麦小舎の2011年のシーズンが終了しました。
最終日の今日も、地元の方、遠方からの方、小さな店が溢れるほどのお客さま。
あたふたして、バタバタして、お喋りして、笑って、さよならして。
一年の縮図みたいな一日でした。
実質7ヶ月ほどの期間(それも週末のみ)ですが、たくさんの出会いと、再会とで、毎週末が新鮮で驚きに満ちていて、ほんとうにあっという間の日々。
今年は特に、ひとつの出会いが、さらに大きく、広く、深く、濃く、次へと繋がっていくようなことが多かったのが印象的です。
それは、今シーズン限りで終ってしまうことではなく、また来年へと続く可能性を秘めたものであったりして。
こんな山奥の小さな店に居ながらにして、ここを訪ねてくれた人たちに手を引っ張られるようにして、世界が確実に広がって行く。
ありがたく、素晴らしいことです。
この春、お店をスタートさせたときは、身も心もふわふわとして頼りなく、人に対する対応にも気持ちが入っていないようなことも多くあったように思います。(私に限ってのことではないかと思いますが。)
あんな大きな災害を受けて、直接の災難や苦労を抱えているひとが実際身の回りにもいるなかで、こんな道楽のような小さなお店をやっていてよいのだろうか、やる意味があるのだろうか...。
そんなことも頭のなかをぐるぐるして、足元がすうすうしたような思いのまま、数ヶ月を過ごしました。
今でもその思いが完全に消えた訳ではありません。
それでも、この場所を通じてさまざまな人と言葉を交わしたりするうちに、少しずつ足元の心もとなさが薄まり、もう一度、自分の足で立っている感覚が戻ってきました。
ちぐはぐな眼鏡をかけてしまったときのような、焦点の合わない気持ち悪さみたいなものも消えて、もう一度、自分のいる場所のぐるりをクリアな目で見られるようになってきました。
今年ほど、お客さんに、この店の存在に、助けられた年もなかったと思います。
今シーズン、この場所を訪ねてくださったみなさま。
ひとりひとりに、心から、ありがとうございます。
まだまだ未熟者につき、行き届かずにご迷惑をおかけしたこともあるかと思いますが、ここで過ごしたこと、ここで出会った自然や風景、本、音や匂い、時間などから、いくばくかの心の安らぎや心地よさを感じていただけたとしたら、私たちにとっても幸せです。
この場所で、季節の移り変わりを感じながら、日々を過ごせることの幸せ。
好きなこと、やりたいことに、じたばたできる幸せ。
長い冬のその先の春を、楽しみに待つことができる幸せ。
その幸せを、わかちあえる人たちがいる、という幸せ。
噛みしめながら、ひとまず今季終了のご挨拶といたします。
来春、また笑顔でお会いできますように!