先週末は、前橋で行なわれた「敷島。本の森 ブックマルシェ」へ。
初日は予報どおりの雨。2日目は30℃近い夏のような陽気。
お天気には振り回され、場所の変更や、中止になってしまったイベントもあってそれは残念だったのですが、ブックマルシェとしては両日ともたくさんの方が足を運んでくれて、結果的にはお天気のことが気にならないほどの充足した2日間となりました。
2日ともほとんどお客さんが途切れることなく、テントのなかで、本を介してのやりとりやお喋りを交わしているうちに時間が流れて。
探していた本にたまたま巡りあえた人、懐かしい絵本を入口に思い出話を聞かせてくれた人、本にはほとんど興味がなかったけれどこれから読んでみますと言ってくれた人。
単なる売り買いの行為以外のそうしたやりとりに、本への愛情や発見や可能性みたいなものが見えて、まだまだ新米ながら、本を扱ったり紹介していくことの歓びを再確認することができました。
一緒に出店した皆さんも個性派揃い。ついつい持ち場を離れてふらふら覗きたい衝動にかられっぱなし!
せっかくなのでこの場でメンバー紹介を。
横浜から来られた「
greenpoint books & things」は、わたしの憧れの本屋さん。
店主の赤木さんとは少しだけ面識があり、ここで再会することが叶って嬉しいことでした。
(前々から気になっていたオリジナルのパンケーキ粉とジンジャーレモンシロップも買えてホクホク♪)
ブックニックでもお世話になっている長野市の「
ch.books」には、いつも気になるzineやリトルプレスが並んでいてとても刺激になります。
島田さん&青木さんの名(迷?)コンビぶりは、前橋に来ても健在でした!
前橋が地元の「ぱらり書房」は、イベント出店がメインで本屋さんとしての活動を始めたばかりだそうですが、乙女レトロ系のセレクトや見せ方にしっかり独特の雰囲気があって、これから群馬のお仲間としてご一緒していけるのが楽しみです。
イベントの主催者でもある
フリッツアートセンター「ロバの本屋」のブースでは、洋書絵本のセールにお子さんたちがかじりつき!
また、吉祥寺の「
百年」からの委託の本があわせて並び、ベテラン古書店ならではの充実ぶりに終始お客さんが足を止めて手を伸ばしていました。
もうひとりの主催者、「
suiran」の土屋くんは、フリッツ内に新しく旗艦店「レンズ」をオープン!
このコーナーがなんとまあ、古本好き、またはいつか自分で古本屋をやりたいと思っているひとなら、おもわず溜息を漏らしてしまいそうな完成度の高さ。(私は何度「ずるい、ずるい!」と叫んだことか!)
例えるなら、老舗の絵本専門店という懐の広い宇宙に出現した新しい「小惑星」。(やっぱりずるい!!)
こちらはイベント期間だけではなく、今後もずっと展開されます。
その土屋くんを通じて私たちも親しくさせて頂いている「
book pick orchestra」チームが、今回行なったワークショップは、その名も「NO READ」!(“読んだことのない本の帯を書く!?”)
次々生まれる「新しい本の扉の開き方」のアイデアには、毎回、目からウロコ!どうしてそんな発想が閃くのか不思議です。
木漏れ日のベンチでのワークショップの光景も素敵でした。
そして最後に私たち「キジブックス」は...。
いつものような絵本・児童書から自然、山岳、文芸、サブカルチャー、朔太郎さんや群馬の自然にまつわるものなどをちょこちょこ雑多に積んでいきました。
久しぶりにお目見えした「トロワブレンド」や、お取り扱いを始めたばかりの「
ゆめある舎」刊『せんはうたう』なども好評で、嬉しかったなあ。
あまり裏側のことを話すのは、内輪で労りあうようでよくないかもしれませんが、ここで主催側のみなさんにあらためて感謝の気持ちをお伝えしたいと思います。
これだけのイベントを行なうためには、告知やもろもろの準備に本当に手間がかかります。
ましてや今回のように、天気の面でも心配もある場合には、その心労たるやどれほどのものかと。
(自分たちが逆の立場になることもあるので、よくわかります。)
すばらしい場所をご用意くださったフリッツアートセンターの小見さん、初めから終わりまで細かいサポートをしてくれたsuiran土屋くん、また雨の中、会場整理をしてくれていたスタッフの方々、ありがとうございます。
フリッツという地元に根づいた大木と、そこで見守られながらここ数年で着実に芽を開き出した「チチリの庭」などの若葉のような活動と、そのどちらもがあってこそ出来得た気持ちの良い空間と時間だったのではないかと思います。
私たちの足元でもある群馬の地で、本を手にみんながにこやかに集う場が生まれたことを、とても嬉しく思います。
実はこんなことがありました。
おそらくもっと大々的な従来のいわゆる「古書市」を想像して来られたようなおじさまが、「なんだ、こんなの遊びじゃないか」と吐き捨てるように呟いて帰ってしまいました。
それを目撃した瞬間は悲しい気持ちにもなり、おじさまに満足してもらえなかったのは残念なのですが、よくよく考えたら「それでこそ」、でもあるのです。
従来とは違うやりかたで、「本」や「本をとりまく時間や場所」「本があるライフスタイル」を提案してみること。
まずはそこから始めてみたいと思っているのです。(私たちも、おそらく土屋くんや今回居合わせた方たちもきっと。)
その先に何があるのか、まだ断言することはできない、迷いながらの過程ではあるけれど、決して「これって、わるくないよね」と言える何かがある気がして。
今回の敷島の試みは、私たちにとって大きな刺激になりました。
前橋のこの場所だからできたこと。
翻って、じゃあ北軽井沢のような場所でできることとは......?
秋に予定している「ブックニック」に向けて、ひとつ宿題を(といっても楽しい宿題ですが)持ち帰ってきた気分です。
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GW営業やライブ、そしてイベント出張、と、バタバタしてしまいましたが、今後はしばらく静かに、通常どおりの週末営業を行ないます。
日常の麦小舎でお会いしましょう!