5月からこのかた、日に日に眩しくなる新緑に引っ張り出されるように、冬の間の鬱憤をはらすかのように、あっちへふらふら、こっちへぶらぶら。
車を走らせるだけでも気持ちがいいので、近場ですが、遠足に出かけてばかり。
...な、記録。(麦小舎探訪とあわせて、よかったら参考に。)
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実家の母の滞在中には、昔、家族でもよく出かけた、草津から白根、万座方面への母娘ドライブ。
夏のような日射しが照りつけていたので、軽装で出かけたら、白根の山頂はさすがにまだ春先の気温と冷たい風。
5年ぶりくらいに訪ねたので、ドライブインから湯釜までのルートが変わっていたことも知りませんでした。
新しい道は勾配もきつく、長く、おまけにてっぺんについても湯釜はだいぶ遠くに水たまりのようにしか見えず、ちょっと残念。
荒涼とした岩場を、風に身をすくませながら黙々と登ったり降りたりする人たちは、何かを祈る巡礼者のよう。
横手山のリフトに乗って山頂のパン屋さんへ行ってみようかと思ったら、まだまだ雪があって、スキーヤーの姿が。(ここは5月中旬まで滑れるらしい。)
車で2〜30分の山のふもととの季節の差に、山暮らしの私でさえキョトンとしてしまいます。
すっかり冷えてしまったので、そのあとの万座温泉のお湯がじんじん沁みました。
草津の「uusi cafe」に寄り道して、甘くて大きなクレープをシェアして。
草津から白根・万座経由で、志賀、湯田中へのルートは、これから夏にかけて最高に気持ちがよいドライブコース。真夏でも雪が見られます。
私たちもまだ通ったことはないのですが、途中で山田牧場方面へ向かう山道を折れれば高山村・須坂方面へ。途中の「七味温泉」もお薦めです。
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しばらく前から気になっていた展示へも、友人を誘って出かけてきました。
伊香保の「ハラミュージアムアーク」で開催中の「紡がれた言葉__ソフィ・カルとミランダ・ジュライ」。
原美術館の別館であるミュージアムアークには、ときどき「え、これが群馬で?」という展示が廻ってくるので嬉しいのですが、実際に訪れたのは今回が初めて。(ほんとうは、シネマテークたかさきでミランダ・ジュライの「ザ・フューチャー」がかかっている間にあわせて観賞したかったのだけど。)
牧場に接しただだっぴろい緑の丘に瀟洒な美術館の建物と屋外作品が点々と。贅沢なのびのびとしたロケーションです。
オシャレなカフェも併設されているので今回はそちらを利用しましたが、芝生でお弁当持って来て広げて昼寝したら気持ちよさそうな。(怒られるのかな?)
うわぁ、天気もよくて気持ちいいねぇ〜♪と、キャッキャしながら入館したテンションは、最初のホール(ソフィ・カルの展示の前半)で一気に急降下...。
ずしーんとうちのめされたヨロヨロの足で後半の展示室に移動すると、そこにはさらなる追い打ちが。
あまり予備知識もなくのこのこ直面してしまったので、衝撃(というか苦痛というか拷問というかなんというか)は更なるものだったのかも。(これから観る方は、作品のタイトルが「限局性激痛」であることからして、それなりの防備をお薦めいたします。)
現代アートは、無理にわかろうとしないでよいのだと言われるけれど、そうはいっても見せられたからには私に一体どうしろと?と悶々としながら、最後のホールへ。
ここで待っていたミランダの作品「廊下」は、ストレートに「ああ、これ好き!」と言えるものなので、みなさんもご安心を。(2008年の横浜トリエンナーレで体験済みの方も多いでしょう。)
欲を言えば、彼女の小説を読んでからならば、余計に「ことば」のなかに体ごと入っていく愉しみを味わえるかも。
ミランダとわたしは同い年。短編集「
いちばんここに似合うひと」で描かれる登場人物たちは、みんなそれぞれ癖があって、風変わりで、近くにいたら面倒だな、友達にはなりたくないなと思うタイプなのに、それぞれのなかに自分に共通する部分があって、読んだときにはびっくり仰天したのでした。“なんでわたしのその部分をあなたが知ってるの?”って。
「廊下」も、以前、「読書」や「言葉」にまつわる遊び(読書を体で味わうには?本のなかに飛び込む方法はないか?...など)をいろいろ考えてみたときの、ひとつの答えに出会った気がして、嬉しくもあり、これだったかというヤラレタ感もあり。自分でも真似して作ってみたくなります。
ソフィ・カルについては、できうれば
品川の原美術館での展示で再対峙して、今度はぺしゃんこに潰されないよう挑みたいです。
紡がれた言葉―ソフィ カルとミランダ ジュライ/原美術館コレクション展
3月16日[土]-6月26日[水]
ハラ ミュージアム アーク(群馬県渋川市)
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次回につづく。