おとといの早朝、長野北部での仕事のために峠を下る。
2日間、ほとんど止み間なく降り続いた雪。
悪路は想像して、いつもの2倍近い時間を想定して降りたものの、やっぱり怖かった。。
国道はずっとゲレンデを車で滑り降りるよう。
急ブレーキを踏まないように足元はふわっと、ハンドルはしっかり持つ、という冬道ドライブの教えを久しぶりに思い出しながらそろりそろり。雪道運転ばかりは何年暮らしても慣れるということはありません。
軽井沢を過ぎ、小諸も抜ければ、積雪はまったくなし。(その日の遅くに少し積もったようですが。)
拍子抜けして、あれは幻だったんじゃないかというような気楽な気分になって、夕方戻ってみればやっぱり変わらず... どころかさらに降って雪かさは増していた。(2日間で30〜40cmほど。)
幹にも枝にも雪がびっしり張り付いて、白い輪郭の森が浮かび上がる。
モミやマツなど常緑樹は重みでしなって、トンネルのように覆い被さってくる。
ここは、北欧?アラスカ??(...いいえ、関東一都六県の端くれです...。)
小さい頃読んだコミックバージョンの「ムーミン谷」にそっくりの風景が出て来た気がする。
運転だけでぐったり...。それでも雪が大好物の百々にせがまれ、膝まで埋もれる雪原の散歩によろよろ出かけて、そこで出会った風景。
白一色の景色が、淡いピンクとゴールドに染まる、一瞬のマジックアワー。
こんなものを見せられると、寒さや雪への恨めしさや悶々とした気持ちも吹き飛んでしまう。
春から秋の爽やかさもよいけれど、北軽井沢がほかの場所にない美しさや自然の雄大さを見せるのは、やはり冬。
「避暑地」とか「高原のリゾート」とかの、ふわふわした形容詞なんて、氷点下10℃以下の冷たい風がぴゅーっと吹き飛ばしてしまって、むきだしの自然があらわれる。
人間がちょっとやそっと太刀打ちしたくらいじゃ、びくともしない冷徹さ。
でもその冷徹さの奥に、ときどき信じられないくらいきれいなものを見せてくれる。
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ほんとうなら、こんな風景を、たくさんのひとに見てもらいたい。見せてあげたい。
心のなかのちいさなモヤモヤなんて、たいていのことは消えてしまう。
真っ白な大地と、凍てつく空と、ただちっぽけな自分があるだけ。
カフェをそのままオープンしていたら、1杯の珈琲と暖を求めがてら、何人かは立ち寄ってくれるのかも。
でも、冒頭に書いたような峠道のことを考えると、気楽に「どうぞ!」とは招けないし、雪かきやその他の設備の面で、自分たちの準備も難しい。
(なにしろ普段の生活を送るのがやっとな部分もあるくらいなので!)
見せたいけど、なかなか見せられない。
来てほしいのに、術がない。
この“冬のジレンマ”は、毎年のように地元の観光業の友人たちとも話し合うことなのだけど、答えが見つからないまま。
バンッとひとつイベントをやって、無理やりにでも集まってもらう、とか、そういう瞬間的なこととも違う気がして...
そのうち結局、長引く冬の間にはそんな意気込みも薄れていって、ただ春を待ちわびるようになる。
それが自然なことといえば自然なことなのかもしれないのだけれど。
遠路遥々とはいかなくても、まず、軽井沢周辺や浅間山麓に暮らす人で、これまで冬の北軽井沢は敬遠していたという方がいたら、試しに、草津の温泉などとセットで(きちんとした装備の上)訪ねてみてほしいと思います。
浅間の北側には、またもう一味ちがう冬景色が待っていますから!
(いくらありのままの自然を体感して!と言っても、どこか冬も日常的にオープンしているお店などの情報はやっぱり必要ですよね。
「ルオムの森」や「浅間高原スノーシュー天国アスパラ」などは元気に営業中!
その他の情報ももっとお知らせしていけるよう収集しなくては、ね。)