11月30日(日)。新潟・柏崎へ。
「
gallery tanne」で一日限定の出張本屋さん。
tanneのふみこさんから「今年も来ない?」と誘ってもらったのはほんの数日前。
お店を閉めたあと、今年は何かをやり残しているような気がしていたのは、これだった、新潟行き!
なんだかんだ毎年のように、声をかけてもらって出かけている。
これって、tanneのある谷根のこの時期の名物、青海川の鮭の遡上みたいだよね、と話しながら、上信越道を北上。
(その鮭だが、昨年、青海川の管理場に鮭の川登りを覗きにいったとき、網で捕えた鮭をおじさんたちがこん棒でゴンゴン叩いてるシーンを見てからというもの、ちょっとトラウマに。
地元の方には見慣れた光景なのだろうけど、よそ者にはかなりの衝撃シーン。
必死に戻って来た鮭をあんなふうに叩きのめすなんて!それもニコニコ笑顔で!!
という訳で、今回、遡上観察はパス。)
直前に決めたのでたいした告知もできずだったけれど、tanneの常連さんたちがかわるがわる覗きにきてくれて、去年やその前にお会いした方もいらして、賑やかにお話している間にあっという間に時間が過ぎる。
ふみこさんとけいちゃんが用意してくれていた賄い(この日、お客様用のお食事はなかったのに、私たちだけごめんなさい!)は、谷根の新米のおむすび(ふみこさんの梅干し入り)、谷根で取れた大きなナメコの入った鮭のつみれ汁、ほくほくのふろふき大根、お漬け物。土地のもの尽しの絶品ごはん。
帰りにも、新米たくさんと、私たちの大好物・田塚屋さんの珍味三種、巨大缶入り柿の種のお土産まで渡されて。
出張というより、これじゃあ実家に里帰りしたみたい。ごちそうさまです!
tanneのまわりの谷根地区の風景も、いつ訪ねても変わらずのんびり穏やか。
名残りの柿がなっていて、軒先にネギが吊られていて、終わった畑はきれいに片付けられていて、清流は勢いよく流れていて、ノラ猫がのんびり、散歩中の秋田犬がのしのしと歩いていて。
ふみこさんたちがここに「tanne」を作らなければ、たぶん訪ねることもなかった場所なのに、今ではこうして「ただいまー」と言いたくなるほど身近に感じる。
人と場所と縁と。不思議なものだなと思う。
一週間前に訪ねた、長野の四賀の村も、とてもよいところだった。
谷あいの細長い土地に田圃と畑が連なって、幾筋もの沢沿いに集落が集まっている。
遠くには穂高の山々の白い襞ひだも見える。
谷と聞くと、なんとなく閉鎖的な暗いイメージを持ってしまいがちだけれど、谷根も、この四賀も、そんな感じはしない。
明るくからっとしていて、どこからともなくいい匂いがして、その村特有の時間が流れている。
四賀を訪ねたのも、(そもそもその名前を初めて知ったのも、)数年前、北軽井沢の清水農園で一緒に働いたせっちゃんが、結婚して、旦那さんとふたりで今年から移住・就農した場所だから。
ずっと行きたいと思っていて、先週、白骨温泉へ行く道すがら、寄ることができた。
ふたりが借りているというおうちが、小高い山を背にした大きな民家でびっくり!(田舎はスケールが違うのだ。)
ここで本格的に農業を始めたのはまだ今年の春からなのに、いくつもの畑と、大きなビニールハウスを3棟(それも自分たちで建てた)もやり繰りしていて、これまたびっくり。
採れた野菜は、松本市内などのスーパーに届けたり、産直マルシェで自分たちで販売もしている。
「失敗もするし、まだまだ」と頭をかいていたけれど、ふたりとも、迷いのない清々しい顔をしていて、こっちまで嬉しくなる。
いい場所に出会えて、ほんとうによかった。頂いた浅漬けの野沢菜もとっても美味しかった。
ふたりが作る「
たべくら農園」のお野菜、機会があったら食べてみてください。
谷根にしても、四賀にしても、ただ地図だけ眺めていても素通りしてしまっただろう村に、出かけていけるのは楽しい。
そこに、会いたいひとが暮らしていて、その土地のことを愛情こめて誇らしく話してくれるのを聞くのも楽しい。
一年に何度も訪ねることはできなくても、行こうと思えばいつでも行けるし、なにより、「あ、今ごろあそこではどうしているだろう?元気でやってるんだろうな。」と折りに触れ思い出して、そのたびに、自分たちも今いる場所でしっかりやろうと励まされる。
そんなふうに、自分の胸のうちに、大好きな人の顔も含めて、ときどき思い描くことのできる風景が増えていくことは、有名神社のお守りをいくつも身につけるよりも、心強く、ご利益もたっぷりあるような気がしている。
tanne4姉弟の次女アオちゃんはとっても美人さん。