引っ越しました。
といっても、わが家の犬(モモ)の話。
2週間ほど前の数日間、モモが夜な夜な鳴きまくり、吠えまくりで、大変な時期があった。
ちょうど日付が変わる頃からワンワン始まり、火がついたようにいつまでも鳴き止まない。
交替で外の犬小屋に様子を見に行くと、そばについているときはシッポを振ったりしているのですが、離れたとたん、いちからやり直し。
ご近所さんにも申し訳ないし、私たち自身も寝るに寝られず、悪夢のような数晩でした。
(もちろん外はマイナス15℃ほど。ベッドから這い出て、パジャマの上にダウンに帽子に手袋にと完全フル装備をしなければならないのも大ごとで。)
この冬は、いつにも増して、イノシシの出没が頻繁。
いつもはあまりやって来ない庭の近くまで、朝見ると足跡が縦横無尽に残っていて、近くの別荘の敷地内には派手に掘り起こされているところも。
さらに最近は、夜中、キツネのギャンギャンという声もよく聞こえてくる。
ご近所Sさん宅では、玄関のすぐそばまでしょっちゅうやって来ているらしい。
そのたびにSさんちのユキちゃんと、うちのモモが、番犬合戦のごとく反応する。
豆柴のユキちゃんはソプラノで、モモはよく通るテノールで、大合唱。
それにしてもあのときの数晩はモモだけ異常だった。どんな大物が来ていたのか。それともモモ自身の情緒の問題なのか、いまだに謎。
これを毎晩やられてはたまらないので、急遽、サンルームのなかに仮の寝場所を作ることに。
いつものごとく、ありあわせの木材で、相方が1時間ほどでささっと完成。(それにしては案外しっかりしたものに。)
昼間はおとなしいのでそのままにして、夕方の散歩のあとに移動させてみる。
初めは警戒して首輪がひきちぎれるかという勢いで抵抗し、繋いでからもしばらくバゥッ、バゥッと不満げにせっかくの小屋の柱を噛み砕き続けたのですが、3晩目くらいからはすっかり寛ぎ、この頃では自分から率先して入ろうとするまでに。
夜も、たまに外で聞こえるガサガサというケモノの足音に、見えないながら対抗しているけれど、もうあのときのようなバカ吠えはなくなった。
そして、風の冷たい今日は、朝の散歩のあとからねだられて、とうとう昼間もこちらで熟睡している…。
これは、もしや…、いや、たしかに吠えて落ち着かない原因はケモノがキッカケだったと思うのですが、その結果「あったかさ」という快楽を知ってしまったということ?
これまでずっと、雪も大好き、寒さもへっちゃら、さすがは秋田の血っ!と一方的にエラいエラいと褒め称え続けてきたのだけど、やっぱりモモも人の子(いや、犬の子)、人並みの(犬並みの)暖かさ、快適さを、ほんとは欲していたというのか?
それでは、今まで、氷点下20℃近い寒空に繋いできたのは、私たちの虐待行為だったと!??
仮住まいのスペースで、与えられた藁や段ボールの欠片を自分なりに心地よい感じに整えて、まあるくなって毛繕いをしている姿を見ると、可愛いような、内心複雑な気分に。
でも、これまでも体は病気ひとつせず元気なものだったし、まあ、いちばん寒さもピークになるここしばらくはこれはこれで。
そのうち気温も上がってくれば、ここでは暑い暑いと言い出すはずだし。
そんな次第でここ数日は、ガラス一枚隔てた距離でのあらたな共同生活。
箱入り女王の麦姫さんは、ときどきちらっと観察するものの、特に興味ナシとスルー。ストレスには思っていない様子。
目が合うといちいち「かまってかまって!」となるので、なるべく甘やかしすぎないようにしつつ、向こうが静かにしていると、つい気になって忍び足で覗いてしまう。
思えばいつも、夜の間モモがどんなふうに寝ているのか、見たことなかった。
真っ暗な森のなか、あたりにはケモノが徘徊し、ときには大嫌いな風がゴウゴウ唸ることもある。
そんななか、ひとりぼっちで過ごしてきたんだねと思うと、キュッと胸が痛む。
とはいえ、ほんとのところはわからないし、わが家の基本的な方針<=必要以上にべったりし過ぎない>は変わらない。(もちろん大事な存在であることは大前提の上。)
期間限定のつかず離れずの距離を、お互いに楽しむとしますか。
ふだんは相変わらずのこのおマヌケっぷり。

「おーい、ブラジルさーん!、元気ですかワン?!!」