あちこちから桜の開花のニュースが届くこの季節。
でも、山麓では、ここからほんとうの春が来るまでが実はとても長くて。
じりじりするようなここからひと月(ともう少し?)を、ふてくされずに、一日一日楽しみながら待てるように、個人的な春の気配を集めて、アドヴェントカレンダーのように記録してみることにしました。
さて、最終的にはいくつ数えたら、ほんとうの春に出合えるでしょうか!
【1】
早春賦
今日のように寒の戻りの頬を切られるように冷たい風の日に、自然と口ずさんでしまうあの曲。
1番の歌詞は覚えているけれど、その先が知りたくなって確かめてみたら、2番、3番と、それはそれは、山人が想う春をさらに切実に見事に描写していて、いつの時代も春を待つじれったい気持ちは変わらないのだなぁとしみじみ。
歌詞は安曇野の遅い春を詠んだものだそうだから、この山麓とも気候はそう変わらない。
暗唱できるまで繰り返し読んで、夕方の散歩中、モモに朗々と歌ってきかせてあげました。(気分はもちろん、由紀さおり・安田祥子姉妹!)
春と聞かねば 知らでありしを
聞けば急かるる 胸の思いを
いかにせよとの この頃か
いかにせよとの この頃か
先週末、松本の「まつもと市民芸術館」屋上から眺めた、安曇野・穂高の方角。
【2】
「たねや」の和菓子と冊子
滋賀県近江八幡に本店のある「たねや」のお菓子。
以前から気になっていたのを、先日の東京出張の際、玉川高島屋の地下でようやく買い求めることができました。
店頭に今よとばかりにふくふくと並んでいたのは、桜餅とよもぎ餅。
翡翠のように美しい緑色に惹かれてよもぎ餅と、相方好物のどら焼きをお土産に。
その夜のうちに、写真に撮ることも忘れてペロリと頂いてしまったのですが、苦みもしっかり残ったよもぎの濃い風味と、甘さ控えめの餡がちょうどよく、あと5つは食べられた!
「たねや」というお店が気になっていたのには、この会社が発行する「ラ コリーナ」という無料配布の冊子の存在があったから。
私が秘かに敬慕する編集者、ライター、カメラマン、スタイリストの方々肝入りのこの冊子。
5号目にしてようやく手にすることができましたが、隅々まで制作チームの気持ちの行き届いた、読み応えのあるものでした。
巻頭にある、近江八幡に暮らす米(よね)おばあちゃんの方言そのままの言葉と、添えられた写真のなんと美しいこと。
多くは語らない余白の多いページから、その土地に差す眩しい光が立ちのぼってくるようで、光に飢えた今の時期だからこそ、何度も、何度も開いて眺めてしまいます。
いつかその光を探しに、近江八幡の街を歩いてみたいなあ。
よもぎ餅は撮る前に食べてしまいました...