【12】桜、咲く。
小舎びらきをして、2つの週末が過ぎて。
もうお店を始めて9年目のシーズンになるのですが、いまだに再開直後は「ここ、ちゃんとお店になってるかしら…?」と心配になります。
なにしろ冬の間は、クマの巣穴のごとく、じっと寒さに耐えるためのねぐらと化しているため。
お掃除をして、空気を入れ替えて、小さな看板を「OPEN」にひっくり返して。
ぽつりぽつりとやってきてくれるお客さんと「こんにちは!」と言葉を交わして、自分たちのためではないコーヒーを丁寧にいれて、アツアツのハンバーガーを食べてもらって、「ありがとうございます、またどうぞ!」と見送って、、、
そうしたことを何回か繰り返すことで、ようやくちぐはぐした最初の違和感が少しずつ収まってきます。
「開くのを今か今かと待ってたのよ〜」。
「やっと来ることができてほんとに良かったです」。
お世辞でもそんなふうに言ってもらえると、こちらもこれからの数ヶ月、楽しくがんばろう!と、お腹の底のスイッチがポチッと点灯します。
さて、遅い春がやってくるまでの慰めに、と、小さな春の兆しを数え続けてきた近頃の日記ですが、今年は予想よりも早く「ほんものの春」が山麓にも押し寄せてきました。
桜の開花をはじめ、その他の花や芽吹き具合を見ても、体感的に一週間から10日は季節の巡りが早いように感じます。
ということで、今回の春待ち日記、関東(一応、群馬なものですから)ではもっとも遅いと言われる北軽井沢の桜の風景を載せて、〆とすることにしましょう。
(最終的には、ほんとうの春を待つための【12章】となりました。)
桜は今週末までが見頃となりそうですが、山裾の春は、桜以外にも、水仙やチューリップなどの球根花に、レンギョウ、すみれ、山吹、サクラソウ、早咲きのツツジ、モクレンなど、一斉にわっと開き始めます。
さらに、カラマツや雑木林の灌木の枝ひとつひとつの先にほころび始めた木々の芽が、日に日に風景を黄緑色に変えていきます。
初夏のような下界から来て一瞥すると、まだ寂しい景色ねえと思われるかもしれませんが、つい少し前まで雪景色に見慣れていた目で見ればウソのような眩しさ。
今年のGWは、いつもより華々しく賑やかな装いの北軽井沢を楽しむことができそうです。
「北軽井沢観光協会」前のシンボル桜。
「長野原西中学校」前の枝垂れ桜。
畑の中に人知れずポツンと。隣にはカラマツの新緑。こんな姿がいちばんこの場所らしい桜のような気がします。
そして、私たちがいつも楽しみにしているのが、うちからすぐの牧草地に咲く一本桜。
浅間山と空の青と、草原の緑と、桜の淡いピンク色。
冬の間、ずっと待ちわびていた眺め。
牧草地にむやみに立ち入ってはいけませんが、このときだけは… とお邪魔しました。
犬は頭上の花よりも、足元のモグラ探しに夢中でしたが…