久しぶりに浅間山の火山活動がニュースで取り上げられています。
4月頃から活発化していたようで、6月11日には噴火警戒レベルが「1」から「2」へ。
ただ、ニュースやワイドショーのテンションとは相反して、地元ではほぼ無反応。話題にものぼりません。
「噴火なんて起きないだろう」とタカをくくっているのではなく、浅間山の場合は、小さな噴火がたびたび起きるのはごく当たり前のことだから。
レベルについても、「2」というのは、火口の周辺まで近づけば(つまり、相当がんばって山登りしていく場合のみ)噴石などに注意してというもので、ふもとで普通に暮らしたり、山荘に遊びに来たり、観光に立ち寄る程度には、なにも問題はありません。
私たちがここに暮らし始めて以降では、2004年の9月(その後しばらくの期間に何回か)と、2009年2月に噴火がありました。
特に2004年の噴火は、引っ越してきてまだ半年、今回のような親切なお触れもなく、私たちにとっては突然のことだったので、相当慌ててしまいました。
まだこのブログを始めていなかったので、あの頃の記録を残しておけなかったことが悔まれます。
夜8時、窓ガラスが割れるかと思うほどの空震。山頂から飛び散る火花。そのあと降ってきた灰の雨。数日間の道路封鎖。目の当たりにした畑への降灰被害。
もっとも印象的だったのは、9月半ばの再噴火のあと数日間見ることのできた火映現象でした。
夜、火口内の赤熱や火炎が雲や噴煙に映って、山のてっぺんだけ燃えるように赤くなるのを、肉眼でもはっきり見ることができるのです。
赤みが強くなったり弱まったり揺らめいて、自然現象というよりCGか何かでつくった人工的な光景のようでもあり。
あの火口のお椀の底に、ほんとうに熱いドロドロのマグマが溜まってるんだなあ… と感心しながら、飽きずにしばらく眺めていました。
怖いというより、手放しでただ仰ぎ見るしかない神秘的な美しさ。
科学的なことがいろいろと解明されてきた今の時代でも、あれを見れば、昔の人のように「ああ、お山には神様がいる」と思わず手をあわせてしまいそうになる、そんな光景でした。
このときは、秋にかけて数回噴火があったのですが、そのうちの一度は伊豆まで出かけていて、帰り道、山梨の富士山麓のあたりからずっと北の方角からたなびいてくる太い飛行機雲のような筋を追いかけてきたら、それが浅間の噴煙でした。
目指すわが家は、まさに湧き出す煙の根元!戦場や敵のアジトに突っ込むハリウッドスターの気分(笑)。
この秋の一連の活発な活動は、浅間山にしてみれば小さなクシャミ程度のものでしかなかったけれど、私たちにとってはこの場所で暮らすための心構えを知る、よい機会になったのでした。
生きている以上、山は必ず噴火を繰り返す。
私たちはその火山のふもとを借りて住んでいて、今は、たまたま幸いにも平穏な時期が続いているだけ。
予知や予報がうまく当たれば御の字。
いきなりドカンときても、それはそれでしょうがない。
自然は人間の想像や技術より、はるかに大きい力を持っているのだから。
御岳山以降、火山に注目が集まり、世の中も敏感になっています。
火山や噴火に興味を持つことは大事だけれど、どうもセンセーショナルな側面に引っ張られたり、少しの変化で騒いだり、予報はできて当たり前、自分たちは当然、情報を享受できるもの、というような風潮が見られる気がして、違和感を感じてしまいます。
ひとくちに火山といっても、山により、地理や形状・歴史、周囲の住環境など、それぞれ違うもの。
なんでもかんでも危ない怖いではなく、まずはこれをよい機会に、山の成り立ちや特徴をそれぞれがもっと知ろうとしてみることが大切だと思います。
また、私自身もついそうなりがちなのですが、データや情報、専門家の解説などが、手軽にネットから入手できる分、そちらを見て分かった気になって安心したり、逆に不安になったり。
情報化がいくら進んでも、振り回されてばかりでは、いざというとき、逆に足を引っ張られそうな気もします。
騒がず、煽られず、かといって過信せず。
できることといえば、いつも以上に、山をよく見て、耳をすませて(そうそう、以前の噴火のときには、毎晩、地鳴りもすごかったのです)、鼻をきかせて(今のところ、硫黄の匂いもしません)、風向きを意識する。あとは普段どおりに暮らすだけ。
ここ数年、噴煙もおとなしかったので、威勢よくポッポしている姿を見られるならば、ちょっと嬉しいくらい。
雑木を伐採してすっきりさせたわが家の庭先からも、山の見晴らしがよくなったので、遊びに来た際は、コーヒー片手にゆっくり火山観賞してみてはいかがでしょう?!
晴れた日には、キャンプチェアを置いておきますね。特等席です。
週末お店に来たお客さんからは「でも、異変が起きそうならモモちゃんが教えてくれるんじゃないですか?」と。
うーん、どうでしょう…。その手の能力に長けているような顔には残念ながら見えませんが(笑)。
でもモモにとっては初めての経験になるので、わかりませんね。頼りになることを願って。
ちなみに11年前、猫の麦は、空震音にビビって、物置の奥の奥にひとり逃げ込んで、引っ張り出すのが大変でした。
■参考:浅間山火山防災マップ(長野原町版)
http://www.town.naganohara.gunma.jp/bousai/Mt.asama_bousaiMAP_20100312.pdf