落葉が進み、空がだいぶ広くなってきました。
この秋の黄葉は、出足も遅く、長雨の影響で早くに枯れてしまった木も多く、なかば諦めていたのですが、眺めていると面白いことに気づきました。
同じ樹種でも、タイミングを見計らってパッときれいに色づくものもあれば、早々に枯れて散るもの、今ごろのんびり色づき始めたものもいたり、とても個性的。
黄葉でも新緑でも、つい森全体で眺めてしまいますが、木、一本一本にも性格や個人差(個木差?)があるということを改めて気付かされます。
もう少しこの景色を眺めていたいけれど、木々の向こうには薄く雪をかぶった浅間山…。(今年は11月1日ぴったりに初冠雪しました。)
もう次の長い長い季節がそろりそろり、忍び寄って来ています。
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慣れないイベントに張り切ってしまった10月。
お祭りが過ぎたあとは、いくつかの仕事に追われながらもなんとなく抜け殻のようにぼんやり。
お礼とご報告も、こんなに遅くなってしまいました。
まずは2年ぶりの開催となった「ブックニック」。
今年は体育の日の1日のみの開催でしたが、お天気にも恵まれ、本と、本を楽しむ人たちとともに、無事和やかに行うことができました。
これも、参加してくださった本屋さんの仲間たちと、ご来場いただいたお客様のおかげです。
他のこうしたブックイベントに較べたら、規模も小さくこじんまりとしたものですが、逆にこれくらいの雰囲気がゆっくり楽しめるとお客さんには言ってもらえたり、本屋さんからは「ほんとうに本が好きな方たちがじっくり選んでくれるのが嬉しい」という言葉をもらいました。
回数を重ねても、なかなか手作り感が抜けず、進歩がないことが気がかりだったので、そう言ってもらえることはとてもありがたく、思い切って再開できてよかったなと思います。
もちろん改良していくべきところはまだまだありますが、あまり何のために、とか、こうあらねば、と難しく考えず、シンプルに「本との出会いは愉しいもの!」という思いを、少しでも多くの人と分かち合える場になれたらいい。あらためてこの1日を通してそう感じました。
また来年以降も、そんな小さな本に集まる輪をつくっていければと思います。どうぞご一緒してくださいませ。
そしてもうひとつ。前日に行った麦小舎10周年感謝祭のマルシェとライブ「10年目の秋の森で。」
こちらは朝まで雨が残り、マルシェやライブ会場を急遽変更するなど、少しバタバタとはなりましたが、この日も私たちにとって記念すべき、忘れられない1日となりました。
マルシェを一緒に盛り上げてくれたのは、麦小舎のこれまでの10年間を、近くから遠くから見守ってくれた方々ばかり。
そんなみなさんですから、始まる前から私たちも大船に乗った気持ちでお任せしっぱなしだったのですが、迎えた当日、それぞれ忙しいにも関わらず個々のすばらしい作品や商品、おいしいモノを用意して、一緒にお客さんを迎えてくれました。
スペースも十分ではなかったり、寒かったりというコンディションのなかでも、終始笑顔で、今この時間を一緒に楽しもうと自然にふるまってくれる。
そのおかげで、小さな店の店内で、庭の片隅で、こじんまりとではあるものの、温かなやりとりや寛ぎの場が生まれました。
後半は、9年前の麦小舎での初ライブ以来、何度となく訪れてくれているtico moonのおふたりによるライブ。
結成15周年を迎えるおふたりの新しいアルバム「arietta」の収録曲を中心に。
9年前は9月なのにとても寒い日で、凍える手を温めながら演奏してくれました。
あのときの胸がいっぱいになった気持ちを今も覚えています。
そして今、3年ぶりに聴くおふたりのハーモニーは、あの日のドキドキとはたしかに別の、頭と胸だけでなく、もっと手や足の先の隅々までじわじわと染み込んでいくような、これまた初めて味わうざわめき。
それまで、10年という月日をあまり意識したことはなかったのですが、同じひとつの場所で聴く音楽の響き方の違い、自分の受け止め方の違いに、形には残らない年月の積み重ねというものの手触りを初めて感じられたような気がしました。
親しい人たちと、美しい音楽と、たくさんの温かい言葉に彩られた一日。
数年ぶりというお客さんにも会えたのも嬉しかったこと。
私たちだけでは決してつくることのできない時間。
同時に、10年前のこの場所でもたぶん作れなかった空間。
感謝祭と銘打っておきながら、感謝すべきギフトをもらってしまったのは私たちのほう。
困っちゃうな。またこの恩返しのために、10年がんばらなくてはならない!
この一日を、「森の写真館」の三菜ちゃん・章三パパの親子カメラマンが、一冊のアルバムに綴じてくれることになりました。
(アルバムは完成したら、この日お世話になった皆さまにもお配りします。)
サンプルでもらったなかからのワンショット。
これが10年目の今の私たち。おかげさまでこうして笑って、ここにいます。
これからも笑って、ここにいたいです。
秋の2日間、ご来場のみなさま、協力いただいたみなさま、ほんとうにありがとうございました。
お祭りは終わりましたが、麦小舎の今季の営業は11月いっぱいまで。
今月はいつもののんびりオープンをしながら、秋から冬へ、いちばん美しい大好きな季節をゆっくり楽しもうと思います。
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