仕事柄、軽井沢の町をうろつくことが多い。
今日もうららかな陽気のなか、爽快な気分で、というよりはむしろ、まだ体と頭が季節についていかずに、もわもわんとして落ち着かない心持ちで、目的地から目的地へと機械的に車を走らせる。そもそも今日一日のスケジュールが、頭を働かせる必要があまりなく、いかに件数をこなせるか、というところがポイントだったりしたために、もわもわ感は増幅。効率のよい移動経路だけを考えて、心はなんとなく沈みがち。
途中、本日5、6件目の訪問先として、ある美術館に立ち寄った。
賑やかな(というかこれから賑やかになる)メインストリートから少し奥に入った静かな一画に立つそこは、曲線を描くモダンな外観と、中のよく手入れされた庭が美しく、私の軽井沢のお気に入りスペースのひとつ。今年も先週くらいにオープンしたばかりで、連休前の今はまだ人影もない。
雰囲気をぶち壊さんばかりに、ばさばさとかさばる荷物を搬入し、ちまちまと細かい清算作業を済ませ、「では」と退散しようとすると、親切なスタッフの方が「よかったら展示を覗いていったら?」と声をかけてくれる。まだ先を急ぐ身ではあったけれど、それくらいのサボりはアリだよな、とお言葉に甘えて、2階の企画展示室へ。
この美術館の今年の春の展示は、あるメーカーのビールをテーマにした作品を募集し、その中から選ばれたものを飾っているんだったっけ、と、前に集めた情報を思い出しながら足を踏み入れると、果たしてそこには、思い思いの発想で描かれた絵、写真、それらを合体させたモノなどが、広々した空間に整然と架けられていた。

カワイイ系あり、バクハツ系あり。でも元がグリーンの爽やかなボトルが特徴の商品だけに、全体的にはスッキリ爽やか系。同じモチーフで、よくもこんなにオリジナルな表現ができるもんだ、と感心しながらぐるりと見て回るうちに、見たものに単順に影響を受けやすい体質の私の頭の中も、もわもわが次第にしゅわしゅわに変わっていく。なんといっても、淡い光が差し込むひろーい館内を独り占め状態(おまけにタダ見!)というのが、なんとも贅沢。
アートに癒されるたあこのことですなぁ、役得ヤクトク。地道にやってれば、いいこともあるものです。
スタッフの方、ありがとうございました。期間中、きっとまたちゃんと払って見に来ますね。