
いつもの追いつめられた時と同じく、読書がはかどる。
はかどる、というよりも、手当たり次第にむさぼる感じ。
重いの、軽いの。小説、エッセイ。あっちに行ったり、こっちに行ったり。
あまり誉められた本の読み方ではない。
そんな中から2冊。(どちらもジャンルとしては“軽い””エッセイ”。オンナノコ向け。)
「
夾竹桃の花が揺れる頃に」(玉井恵美子・ピエブックス)
あれはいつのことだったか。ある雑誌の見開きページいっぱいに、周囲にはこんもりとした茂みもある草原(それは、ほんとに原っぱと呼ぶより"草原”という佇まいだった)に、古びた木のテーブルと椅子がポンと置かれた、ひとつのカフェの紹介写真が載った。
なんだかやたらと惹き付けられた。
テラス席もあるカフェ、とかいうんじゃなく、その草原ぜんぶが、カフェ、だった。
こんなところが日本にもあるんだー、と衝撃だった。
なにしろ、私が、昔から、もしこのおうちでカフェのようなものが出来るなら、この建物ももちろん好きだけど、高い木に囲まれた、この草地(草原とは呼べないまでも)のお庭にテーブルと椅子だけ並べて、空を見上げながら、お茶が飲めたら、さぞかし気持ちがいいだろうな、とずっと思い描いていた「絵」が、そこにはもう存在していたから。
この本は、そのカフェが作られていく過程を、オーナーである女性が綴った日記。
玉井さんは、難しいコトバは使わない。
うんざりはうんざり、うれしいはうれしい、がっかりはがっかり、ありがとうはありがとう、と、書く。
様々なひとが、その場所を訪れ、また帰っていく。
感動したり、時には少し傷つけられたり、それでも人々を見つめる視線はまっすぐで揺るぎなく、「また明日」へと向かって行く。
ひとに、与えて、与えられて。
それなんだよなぁ〜やっぱり、と思う。
カフェをしてみたい、ということは、最終的にそういうことに繋げていきたいんだと思う。
カフェ「ソーイング・テーブル」。
いつか、ぶらりと、訪ねられるかな。。
そのときは、私にも「これが私の居場所なんです」と紹介できる場所を、持っていたい。
「
器と暮らす」(中川ちえ・アノニマスタジオ)
美味しいモノ、コトを紹介するエッセイストである著者。
面識と呼べるものではないのだけど、なぜか私は彼女の結婚パーティーの場に立ち会っていて、そのせいで勝手に親しい人のような思い込みをしてしまう。
(そのワケは、ちえさんと、ご主人である珈琲焙煎家・中川ワニさんご夫婦が、私の以前の東京での勤め先のオフィス兼倉庫でパーティーをしたから! 日頃通っている分には思いもつかない発想だったのだが、なかなか味のある面白い空間だったのはたしか。)
今回の本では、ちえさんが益子から金沢、京都、つくば、沖縄まで、焼き物の作り手さんの元を訪ね歩く。
そうした紀行的なものはよくあるから、はじめ買うことをためらったのだけど、なかに出て来る作家さんに、前から気になる人たちの名前がちらほら見えたので、思わず手に取った。
益子在住の吉村和美さん。以前にも書いた原宿の「CINQ」で出会って以来気になっている。
福井に住む堀仁憲さん。昨年オープンした軽井沢のカフェ「コテージ415」で見かけて虜になる。
そして、もうひとりが、沖縄に住む女性作家、八木由美子さん。
ご本人は、白を基調としたシンプルな器がメインだが、それと、沖縄独特の「やちむん」と呼ばれる器との取り合わせが、なんとも絶妙で素敵なのだ。
すでに、私の中には、木もれ日の差す草むらのテーブルに置かれた器たちの姿が、妄想となってムクムクと....!
う〜ん、こんな妄想になら、半日でも、丸一日でも、浸っていられちゃうんだがなー(笑)。
* * * * *
妄想ばかりでもいけません。
今日は、「第1回麦小舎カフェ(仮称)ミーテイング」を開催。
(参加者:相方、わたし、シャチョー。ただしシャチョーは、半分以上、窓の外の小鳥の様子に気を取られてばかりでしたが。)
用意しなければならないものや、今後数ヶ月間のスケジュールを、紙の上に表していく。
担当割りをされると、ちょっとソノ気になってくる。
昔から、遠足のしおり、とか、修学旅行の予定表といった類いのものに、弱いのだ。。。