今年で20回目を数える「
高崎映画祭」に行ってきました。
昨年は「あ」と気付いたら終わってしまっていたので、今年は早々とコンビニでチケットを入手して、準備万端。
高崎へは1時間かかるかかからないかで行ける距離ですが、何回も出かけられる訳でもないので、スケジュール表とにらめっこして、日程と観たいモノを検討。
個人的には、邦画では、「空中庭園」、「トニー滝谷」、「埋もれ木」など、洋画では「マザーテレサ」、「皇帝ペンギン」、「クレールの刺繍」などなどありましたが、調整可能な日にちと、映画にはウルサい相方のOKとが噛み合ったのが、以下の2本。
初めに観たのは、オーストリアのミヒャエル・ハネケ監督『カフカの城』(1997年)。
一般公開された作品としては、『ピアニスト』で知られるこの監督。この映画祭ではかなり「オシ」らしく、4本がラインナップされていました。
予告パンプレットなどを見ても、かなり前衛的らしいことは予測できたのですが、それにしても、なんともはや。。。
奇妙奇天烈な世界、というのでもなく、ストーリーはおそらく原作にかなり忠実に、真面目に丁寧に綴られているのだと思います。
そもそも、カフカの世界を映像に起こすということ自体が、すごい冒険だと言えます。
BGMは一切なし。オープニングもエンドロールも無音。
みじろぎすることすらためらわれるような緊張感のなか、2時間強の全編を遠して、出演者の感じる倦怠感や疲労、怒りや諦めといった感情が、観る側にもズズズーンとのしかかってきます。
また、ラストが、絶筆となった原作そのままに、いきなり、本当に唐突に、終わってしまうので、疲れるやらビックリするやら、もうとにかくこれぞ「不条理の世界」。
ひどい船酔いにあったようなクラクラな気分で、会場を後にしました。
たまには、嫌いではないです、こういうのも。
続いて、こちらが本命。ジム・シャームッシュ監督『コーヒー&シガレッツ』(2003年)。
ロードショー時から気になっていたので、ここでやっと会えることができて、うれしい。
嫌煙の進むアメリカの片隅で、何杯ものコーヒーとタバコの紫煙をはさんで繰り広げられる、たわいのないシーンが11話。
ジャームッシュだからこそ、作品になり得たという感じ。
ロックやヒップホップ界のアーティストが、そのままの「ノリ」でゴロゴロと出演。ケイト・ブランシェットが1人2役を演じていたり。
一生懸命に生きることも大事だけど、かたや人生なんて、こうしてコーヒーとタバコを手に、無意味で、埒のあかない会話を繰り返していくだけのモノなのかも、、、なんて、(イイ意味で)開き直って、ラクチンでゴキゲンな気持ちになれる、1本でした。
(これなら、おうちでアルコールと一緒に観るのでも、よかったかな。)
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目をシバシバさせながら表に出ると、外は夜桜。
私は今年2回目の、相方は初めての、桜景色。
まだもう一度、GW頃に訪れる、軽井沢の桜も待っています。