追分の近くで見かけた花畑。
ヒメジオン、アカツメクサ、宵待草、あと、紫色のはなんだろう...。
どれも洒落た花ではない。ありきたりな日本の田舎の花。
でも、これだけ一面に咲きそろう「花畑」って、最近、見かけていない。
小さかった頃、北軽井沢に来ると、家族で花畑を歩いた。
みんなで「大草原」と呼んでいた原っぱ。
夏には、コオニユリにナデシコ、マツムシソウ、ワレモコウなどがわんさと咲いていて、小さな私や弟の背丈よりも高く、明るく開けた野原で太陽をいっぱいに浴びていて、その中を、トンボを追いかけたりしながら歩いたり、疲れたら肩車をせがんだり、摘んできた花を重たい図鑑に挟んで押し花にしたりした。
私の北軽井沢の「原風景」。
今も変わらずあるのだろう。(開発されるような場所ではないから。)
それでも、近くを通っても、入口が見つからない。
茫々とした茂みに覆われてしまったのか。
それとも、私の「眼」が、花畑を見つけられなくなったのか。
ある人を待つほんの数分の間、眩しい日差しに眩みながら眺めていた風景に、幼い私たち姉弟と、若い両親の歩く後ろ姿がよぎったような気がした。