クヌギやナラの木から落ちたギザギザの葉が、地面いっぱい覆っている。
踏みしめるたび、シャクシャク、シャクシャク、乾いた音。
この音と、香ばしいような、綿アメのような、秋独特の香りは、ランドセルを背負って学校から帰る時の感じを思い起こさせて、懐かしくなる。
高い空と、淡く黄色く色づいた雑木林。
北軽井沢の紅葉は、絢爛豪華な錦絵とはならないけれど、印象派の絵に出てくるヨーロッパの片田舎みたいな寂しさと温かさがあって、好きです。
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金曜の夜はケーキ職人になる日。今もパウンドケーキを焼いている。
ケーキ以外のフード全般担当の相方は、平日も計画的に準備を進めるのだけれど、こちらは短期集中型。前日に一気に仕上げます。(この性格の違いは、暮らしのあらゆる面で顕著に表れますね。。)
私の作れるケーキは限られている。
今、メニューとして出しているのは、パウンドケーキとベイクドチーズタルトの2種類。
恥ずかしながら、どこかできちんと製菓の勉強をしたこともなく、もともと時間があればこまめにケーキ作り....というタイプでもない。
そんな私が、人様にお出しして恥ずかしくないモノ...と考えると、必然的に絞られてしまう。
ベイクドチーズは、母から伝授のレシピ。
母も、毎日のようにケーキを焼くお母さんというタイプではなかったけれど、気が向いたり、子どもたちがねだった時には、ちゃっちゃっとケーキを焼いてくれた。
クッキーのようにサクサクしたタルト生地に、レモンの風味を利かせたさっぱり目のクリームチーズのフィリイングを流し込むこのタルトは、小さい頃から私と弟の大好物。甘いモノが苦手な弟もコレだけは別。誕生日にも、生クリームたっぷりのショートケーキより、こちらをリクエストすることが多かった。
ホールまるごと食べられそうな、くどすぎない甘さが絶品だと思っている。
もうひとつのパウンドケーキは、個人的に昔も今も好きなスイーツNO.1かもしれない。
珍しいドライフルーツや、洋酒がたっぷり染み込んだパウンドケーキは、子供心にオトナの香りのする高級なモノとして憧れて、おやつの時間に薄く切られて出てくるとドキドキした。
母と揃って目がないのは、新宿紀伊国屋(※「中村屋」のマチガイです!)のオレンジのパウンド。伊勢丹で買い物を済ませた帰りには、紀伊国屋(※×→中村屋!)で肉まんとこのパウンドを買って帰るのが恒例。(ちなみに、肉まんも紀伊国屋(※なかむらや〜〜!!汗)が一番だと今も思っています!)
卵とバターと砂糖と粉を、同量に混ぜて焼くだけのシンプルなパウンドケーキ。これこそがお菓子の基本のような気がして、お店をするならコレだけはマスターしたい、と菓子職人の友人にコツを伝授してもらった。
混ぜる手順や、ベイキングパウダーを入れる入れないなど、様々な作り方もあるようだけれど、私の作るものは、ベイキングパウダーは入れない。
混ぜ方のあるコツを習い、繰り返し焼いてみるうちに、ふっくら膨らみ、てっぺんがぱりっと割れる、よい具合に安定して焼けるようになってきた。(パウンドは、なんてったって、あの「てっぺんの裂け具合」が醍醐味ですよね〜)
季節によって、入れる中身を色々とアレンジできるのも、楽しいところ。
秋に入って、栗や花豆を入れた物も、なかなか好評でした♪
明日は、また少し違ったモノにしてみます。
平日の終わり、週末の始まり。
オーブンから漂う甘い香りと一緒に、さて、と気持ちを入れ替える。
明日はどなたに食べてもらえるかしら....?