しずかな夜。
石油のファンヒーターがしゅーしゅーいう音しか聞こえない。
ストーブにひっついていたら、麦が太腿の上に乗っかってくる。
ストーブにひっついて、ふたりでじっとしている。
相方は、クリスマスのイベントのため、夜までお仕事。
ひとりだと、静かで間が持たなくて、鼻歌をうたってみると、
麦が迷惑そうに首をひねってチラ見する。
相方、おそいねぇ、と言ってみると、黙って目をつむる。
わかってるんだかわかっていなんだかのふたりで、
しゅーしゅーいうストーブにひっついている。
さっき、ゾンビみたいなのがいっぱい出てくる映画を観たから、
麦がいてくれるだけで、実はちょっと助かっている。
畑向こうのお知り合いのおうちに、巨大なツリーがライトアップされていた。
すごいな。明日、見に行ってみようかな。
住人の怠慢で、ムードの欠片もない我が家。
きっと曜日の関係で、今年は今日がいちばん盛り上がっているのかな。
下界の様子もわからない、いつも通りのしずかな夜。
ひとりだから、なおさらしずか。
しゅーしゅーしゅー。
つまらないな。早く帰ってこないかな。
車のライトが見えたのと、麦の耳がぴくりと動いたのが同時だった。
外の冬の匂いをまとって帰るひとを迎えにいく。
おかえりなさい。お部屋は暖かいよ。
おかえりなさい。もう独り言じゃない。