真っ青な空の下でお茶を楽しむ人、と真っ赤な鹿(トナカイ)...?
手にしただけでぽかぽかと日だまりのように温かい本と、同じ絵柄のジャケットのCDが届く。
以前にもお知らせをした『自休自足』の増刊号『
カフェの本』と、同時企画のコンピレーションアルバム『
カフェと音楽と、』がまもなく発売。
これまで雑誌に登場した全国のカフェ12店(どちらかといえば都会を離れたいわゆる田舎カフェ)をイメージした楽曲の収められたCD。
プロデュースは個人的に敬愛してやまない伊藤ゴローさん。
名だたるお店のなかに、ちょこんと「麦小舎」も参加させて頂いています。
サンプルとして発売に先駆けて送っていただいたものを、早速お店のBGMに。
優しいヴォーカルも、澄んだアイリッシュハープの音も、雲がちょうど途切れて眩しい初夏の日射しが降って来た森と庭に、するするすると溶けていく。
すこうし緊張しながら耳を傾けた12曲中最後の曲。
Brian Enoの「By This River」をMOOSE HILLがカバー。
原曲を聴いたときは、大人っぽい落ち着いた雰囲気に大丈夫カナと心配になった。
こうしてあらためて出来上がったものを聴いてみると、すぅーっと耳から胸に入ってきた。
真夏の強い陽射しが降る明るく眩しい日も、
お客さんの賑やかな話し声や笑い声が陽気に響くときも、
なんとなくこの場所には、いつも秋の終わりに近いような、
湖の底に沈殿するような「シン」とした感じがするな、と思っていた。
その曲からも、同じような「シン」とした気配が伝わってきた。
決して冷たく暗く沈む感じではなく、どちらかといえば温い水のなかをたゆたうような。
単調な旋律の繰り返しのなかにも、少しずつ前に進んでいける「希望」が垣間見えるような。
(自分たちのことだから、と、勝手に良いように解釈しているけれど。)
お店を閉めてから明日のケーキを焼きながらも、
今、この記録を書きながらも、
何度も繰り返し聴いている。
ゴローさん。素敵な曲をありがとうございます。
編集スタッフのみなさん。嬉しい企画に声をかけていただいてありがとうございます。
「麦小舎」は、あと2週間ほどで、ようやくオープン一周年。
去年の今頃、はたしてオープン予定日に間に合うのだろうか、とヒヤヒヤ準備を進めていた頃は、こんな嬉しいコトが待っているなんて、思ってもいなかった。
そう、今回のお話は、嬉しい。単純に、心から。
浮かれてはいけないと思うけれど、やっぱり。
それまで憧れて眺めていた人たちと肩を並べて名前が載ってしまったことも、ミーハーだけど、嬉しい。(今でもいいのかしらんと思いながら...)
大好きなアーティストの方にイメージしてもらえたのも嬉しい。
これをきっかけに、知らなかった方にお店を知ってもらえるとしたら、それも嬉しい。
でも、なによりも嬉しいのは、私たちの目指したい方向性をきちんと「共感」してくれる人たちに、カタチにしてもらえたということ。
愛情をもって、優しい視線で、私たちの「今」を、残してもらえたこと。
この本やCDにも出ているその他の多くのお店の方々が、試行錯誤し、常によりよい場所つくりを目指しているように、私たちも、変わっていくだろうし、変わっていかねばいけない。
そのためのエネルギーを分けてもらった。
この感謝の気持ちは、これからお客様へ向けて精一杯おもてなしすることで返していきたい。
そんなこんなの主観を外しても、このCD、素晴らしいです。
個人的には『くるみの木』をイメージした「初恋」や、『ゼルコバ』がモチーフの「Coracao Vagabundo」などが好き。
もともと訪ねてみたい場所ばかりだけれど、ますます妄想が膨らみ、飛んでいきたくなる。
一杯の珈琲片手に過ごす自宅でのひとときにも
お天気のよい日曜日に無性に出かけたくなって車を飛ばしちゃう時にも
ぴったりなお伴になること、間違いなし。
本も、写真集のように楽しめます。
しばらくはこの音楽とともに、幸せな余韻に浸っていよう。
今日も、前にも来てくれた方がもう一度のんびりしに来てくれたり、会いたかった人にもお会いできたり、嬉しいコトが続いた。
七夕の夜。
心の短冊に書き留める願いは__
「感謝と前進」。
いつも見守ってくれる人たちに、これから出会える人たちに。
ありがとう。がんばろう。ゆっくりと。