誰にも、聴くだけで胸の奥がツンとしちゃう曲があると思いますが、私の場合、そんな一つが、映画「ニュー・シネマ・パラダイス」のなかのテーマ曲『初恋』。
巨匠エンニオ・モリコーネの名曲はいくつもあり、その中で、もっともメロドラマ調かもしれないけれど、私はこれに弱い。
ちっちゃな子がいたずらをして遊んでいるみたいな軽やかな3拍子のイントロに始まって、途中、ガラリと旋律が変わって切ないメロディに切り替わるところとか、何度聴いても胸がぎゅーっとして、ついポロリと来そうになる。
この曲には、誰の胸の中にもある、幼くて毎日がただ幸せだった夏休みみたいな記憶と、やがて少し大人になって、モノゴトは単純にハッピーなだけでは終わらないんだということを知ってしまう、そんな何十年かの想いが詰まってるみたいで、カタチにならないいろんな想いがグルグルしてしまう。
でも、振り返ってるだけじゃあなくて。
グルグルしながらも、前を向こうと思わせてくれるところがよいのだと思います。
またCDの話を引っ張り出して恐縮ですが、ここに収められているアイリッシュハープとギターのデュオ「tico moon」による『初恋』も、胸ツン具合はさらに倍増の素敵な曲になっています。
今朝も、雨に降り込められながら、車で山道を下りるとき繰り返し聴いて、ポロポロしました。
対向車の人は、さぞぎょっとしたことでしょう。
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今、私の想像を遥かに超えるような、悲しみの淵にいる友人に、この曲を届けられたらと思います。
大切な思い出はそのままに、でも彼女には、また前を向いて踏み出してもらいたい。
言葉では絶対にうまく伝えられないだろうから、この曲を....。
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余談になりますが、相方の親戚の伯父さんは、昔、相方の故郷でもある田舎の町で映画館を営み、ロールのフィルムを回す技師さんだったそう。
小さかった相方は、その様子を見るのが大好きだったと言います。
田舎の町の映画館。まさにあの映画そのもののストーリー。
今も続いていたらよかったのにな。