雪は溶けたと思ったらまた積もり、寒さも緩んだり再びぐっと責めこんできたりの繰り返し。
そうこうするうちに1月も終わり。
「1月は行く」というほどあっという間には感じなかったのは、寒さのせい?
春を待ち遠しいと思えば、時間は意地悪にゆっくり過ぎるもの。
とはいえ、いよいよ今年の活動に備え、頭の中の「やることリスト」は徐々に行数が増え、サイレンが点滅し始めた。
だけど、脳からの「ほなやりなはれ」の指示サインは、寒さにブロックされて手足の細胞にまでは伝わらず...。
ひたすらコタツに丸まって、ぐずり続ける毎日です。
よし、2月になったら、なったら、
なったら.....。
+ + + + +
そんなこの冬、新しく始めてみたことがある。
以前、この日記でも、その出会いのことをちらりと書いた、「ライアー」という楽器。
私も実物を見るまで名前すら知らなかったのだけれど、ライアーとは、小さな竪琴のこと。
ハープのような楽器は古代からあるけれど、ライアー自体は1920年代にドイツで作られた比較的新しい楽器の種類。奏法や構造もシンプルで、シュタイナー教育の現場などで音楽教育の器材として使われている。
群馬・川場村の旅館を訪れた時に目にして、その形やポロンという気持ちのよい音色に惹かれ、そのことを記したら、ある知人の方に「以前買ったけれど今使っていないものがあるから、よかったら弾いてみたら」と声をかけていただいた。
購入するまでは難しいな、、と思っていたところだったから、とても嬉しいお話!(ブログは時おりこんな嬉しい機会を与えてくれます。)
早速お言葉に甘えてお借りする。
実際に手にしてみると、まあるいフォルムはそれだけで人なつこく親近感を憶え、木の質感もとても柔らかい。
でたらめにつまびくだけでも、すぐに音階が出せるのも楽しい。
そこに、ちょうど今月、くだんの旅館(
*)でライアーのワークショップが開かれることを知り、数日前、参加してみた。
東京からいらっしゃる先生を中心に、旅館の女将さん自らも参加し、生徒さん7〜8名。
そこで初めて聴いた複数のライアーによる合奏は、想像以上に美しい音で、体の内側からゾワゾワした。
あまり複雑でないメロディーでも、カノンのように少しずつ旋律が重なり合うことで、透明で繊細なとても優しい音が生まれる。ちょっとこの世のものでないようなくらいの響き...。
同じ弦でも、ヴァイオリンなどのように弓を使わず、人間の指先でじかに弾くことで、すっと優しい感じになるのだと思う。
まあるいライアーは自然と両腕で抱え込むような格好になるため、まるでみんな赤ちゃんを抱いているような姿勢になり、見ているだけでふうわり暖かい気持ちに。
レッスン会場である旅館の別館のアトリエが、これまたえも言われぬ気持ちの良い空間で、このときだけ別の次元にぽっかり連れ去られたような、そんな雰囲気だった。
これまで自分の知らなかった世界に出会ったときの、新鮮なドキドキする気持ちを、久しぶりに感じた。
またあの心地よい空間に繋がってみたい。
そう思って、すこうしずつ、ゆるりゆるりと始めてみている。
これまでの自分の経験上、習い事の類いは、がむしゃらに飛びつこうとするとすぐに燃え尽きてしまいがち、、だけどこの楽器とは、そんな感じにならない気がする。
ささくれだった気持ちで触ったら、ライアーもそんな音しか返さない。
だから無理に毎日触るのではなく、ふっと心が静かで波打たない日にだけ、ちょっとずつ鳴らすようにしてみる。
上達には時間がかかるだろうけど、急ぐ旅ではなし。
いつか、気持ちのよい季節に、外へ出て、森に向かって話しかけるように奏でることができたら.....
そんな夢想をしながら、今はストーブの前で、小さな、おびえたウサギのような音を出してみている。
新しい世界を知ることは、愉しい。