とある古本屋さんで猫にまつわる本をいくつかレジに持って行ったら、「猫、好き?ちょうどまとまってたくさん入ったところだよ。奥、見て行く?」と言われた。
レジ裏に積まれた段ボールには、はたして「猫本」がどっさり。おばあちゃんがまとめて売りに来たのだとか。
とはいっても、すでに持っているものだったり、ちょっと趣味に合わなかったり、、、
困ったな、こんなにあってわざわざ開いてもらったのに何もいらないというのはな、と焦っていたら、懐かしい表紙の写真集に出会った。

『ズッケロとカピートに仔猫が生まれた』という名のこの本は、小さな頃から家の書棚に表紙を見せて飾られていたもので、なんとなくリビングの風景の一部のように記憶している。
舞台はイタリアのお屋敷。撮っているのは日本人の写真家。ズッケロ(お砂糖)という名の真っ白な美人の雌猫と、カピート(これはなんていう意味だっけ)という雄のトラ猫ちゃん。仲良しの2匹はいつも一緒に広い庭で木に登ったりホースでいたずらしたり亀と戦ってみたり。
そのうち、だんだんに大人の顔になってきて、一枚ページをめくると、ふたりは親となって、小さな(お父さんそっくりの)仔猫を大切に抱いている。
猫の写真集はゴマンとあるけれど、あらためて(十数年ぶりに?)開いてみても、この本は秀逸。
うちの家族では、真っ白な猫を見つけると「あ、ズッケロだ」と勝手に命名するくらい、みんなで好きな1冊だった。
懐かしさもあって、我が舎の「猫の本」コーナーに、めでたく仲間入り。お店が開いたら、ぜひ手に取ってご覧ください。
近頃は、本屋さんに行っても、猫の本特集コーナーが組まれるくらい、次々に出ているようですね。
ふたりとも猫本には目がないのですが、あまり新刊で出ているものを買うことはないかも。そのかわりなぜか古本屋さんに行くと、お互いにヒートアップし、どちらがイイものを探り当てられるか競い合う。
そんななかでも、特に相方が大ファンで蒐集しているのが、武田花さんの写真集やエッセイ集。
ご存知、武田泰淳氏と百合子さんの娘である花さんは写真家で、彼女が撮る下町を徘徊するブサイク顔の猫たちは、「これぞ日本の猫」という堂々たる姿形をしていて、圧倒される。
その猫たちを見ると、あどけない顔をして寝転んだり無邪気に肉球を見せているカレンダーのショットにありそうな猫たちは、(もちろんそれも可愛いには可愛いのだけど、)どうも作り物のようなお人形のようなふうに見えてしまう。
猫なんて、そもそもは人間不信のジコチュウの気まぐれの高慢ちきの一匹オオカミ(?)で、だからこそ憎たらしくて愛しくて、花さんの写真に出てくる「媚びない面々」を見ていると、いいぞいいぞ、と元気が出てくる。
その武田花さんの本も一画にまとめて置いてあります。こちらもどうぞ。
オマケ。
こちら、カレンダーにも写真集にもなりえない、だめだめなひとのあられもない姿。
外では少しずつ陽気を感じられるようになってきたというのに、依然コタツ占有率NO.1。人間たちは彼女に遠慮しいしい足を折りたたまなければいけません。。
たまには思いっきり足を伸ばさせてはもらえないでしょーか、姐さん。