土曜の朝。
目覚ましより早く雨が大地を打ち付ける轟音で目が覚める。
庭に幾筋もの川ができている。
木造の小屋は隅々まで雨の匂いが染み付いてる。家を丸ごと乾燥機の中で転がしたい!
こんな日に来る人もいないだろう、と絶望的にそれでも準備をしていたら、開店早々お客様。結局、一日を通してお迎えした。湿っぽく狭い空間で申し訳ない。
お天気のことなどお構いなしにハイテンションの子供たち。絵本、お絵描き帖、双眼鏡。興味はクルクル変わって、子供同士奪い合って、泣いたり笑ったり。
3歳前後の男の子・女の子。この年頃では女の子のほうが圧倒的におしゃまで口も達者で戦略的(笑)。一方、男の子はやりこめられても一向に意に介さずエヘヘと笑っている。面白いもんだなー。
大人の注意を巧みにひく女の子の作戦に感心して相方にも告げたら「自分もそんなふうだったんでしょ」と言われるので慌てて否定。今はこんな(?)私も、小さい頃はおとなしくてモジモジしていて、もっと小さい頃だけどあんまり静かに一人遊びをしているから、よその家に私を連れて遊びにいっていた母親が私の存在を忘れて帰って来てしまったことだってある。
そうしたら、相方も「オレも海に置き去りにされた」とボソリ。お父さんの海釣りに付いていったとき、お目当ての黒鯛が大漁でウホウホになったお父さんは、助手席にチビ相方の代わりにクーラーボックスを乗せ、有頂天のまま家に帰り着き、お母さんに問いただされて初めて気づいたのだそう。(その頃、チビ相方は暗くなってもひとり釣り糸を垂らしているところを、海沿いの民宿の人に無事捕獲されていた...。)
なんだ、私たちって、それぞれ「置いてけぼりっ子」だったの?
あまり自慢にはならない(どちらかといえば少々物悲しい匂いすら漂う)共通項を見つけた、夏の終わりの雨の日...。(どうでもいいことなんですけど...)
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明けて日曜日。
雨はひとまず止んでいる。青空からお日様が射している!何日ぶりの青空かしら。
大急ぎで窓を全開にして、少しでも風が抜けるように。
ハンモックを出せたのも半月ぶりくらいだ。
天晴、と言うにはほど遠い弱々しい晴れ間だけど、それでも嬉しい。
自分自身にも染み付いてしまっていたような重たい湿気をパンパンっと振り払って、8月最後の空に向かって深呼吸。
お土産にいただいた貝殻の形の落雁をひとつつまんで。
さぁ、これで泣いても笑っても夏にお別れ。
「涼しくなったらね」と言い訳してきたことに、いよいよ着手するのだ!
雨があがったら、足元にはもうミズキの落ち葉。
黄味がかった緑のグラデーションがきれい。