つづき・・・の前に。
今朝のこの大雪!!
その丈、およそ50cm!!
2月の大雪はけっして珍しいことではないけれど、
しばらく続いた雪ナシ状態にちょっと弛んでいたところで
おおっ、と怯んだ。
家の前のアプローチ(これが長い...)に加えて、
なかなかやってこない除雪車を待ちぼうける訳にもいかず
国道へと向かう道まで、ガシガシとスコップを振り回す。
そう、、本来は、こんな毎日なのでした。。。
梅よ、桜よ、、と思うばかりの東京の気候がすでに懐かしく。。
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さて、そのつづき。
実家では、同じく伊豆から"上京"してきた母とお泊まり。
実家と呼ばれるこの家。借り主であるはずの弟が
そこから離れているために、今は住み人不在という不思議な状況。
私がそこに暮らしていたのはかれこれ10年くらい前のこと。
すっきりキレイにリフォームされたその部屋に、母と2人でいると
なんだか知らない人の家にいるような、不思議な感じもするのだけど、
窓から見える公園の景色も、アプローチに咲いてた梅の花も、
ほとんど何も変わらないので、
しばらくいると、じわじわ懐かしい気持ちに...。
結局、お昼くらいまでダラダラお喋りをしてから、家を出る。
各駅停車にゆらゆら揺られて、着いたのは経堂。
商店街をトコトコ進み、開店時間直後の「
ROVA ROVA cafe」へ。
東京で文具メーカーに勤めていた頃から、近くに、遠くに噂を聞いて、
存在が気になりつつも、なかなか訪ねられずにいたお店。
ほぼ2週間ごとに切り替わる若手アーティストの展示や、
店内奥にずらりと並ぶ自費出版系の本のセレクトにも、
店主のIさんの確かな審美眼が光っていて。。
学生時代に近くに住んでいたら、毎日通ってしまうだろう。
その自費出版モノが並ぶ書棚の前で、普段なかなか直接は見られない
(でも見たかった!)本に、あれも、これも、と手を伸ばす。
__絵で語るもの。
__写真で歌うもの。
__言葉で空気を綴じ込めるもの。
あぁ、どれもこれも凄い。想いの数だけ様々なカタチがある。
形状の縛りがないぶん、表現の世界は自由にどこまでも広がっていく。
自分に足りないもの(それを"センス"という一言で片付けてよいものか、
またはもっともっと深いところにある何かなのか...)をぶつけられて、
平静を装いながら、頭の中では激しく落ち込んだり、憤ったり(何に?)
グルグルした。
動転したまま話しかけた私は、少しイタい子だったかもしれない。
でも、店主のIさんは優しくさっぱりと応対してくれた。
悩んだ末、フォレミを一冊お渡しする。グルグルとしたままで。
きちんと読ませていただきます、とIさん。
またお話をしにきたいな、と秘かに願う。
(その時にはもう少し心静かに、胸を張っていられますように.....)
ROVA ROVA cafeでは、今月末から手紙社によるイベント、
「
東京で種をまく。」が開かれます。
いろんなタネやらシカケやらが飛び出しそう!要チェック!
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この経堂でひとつ悲劇が。
それまで手に提げて歩いていた大きめのカゴバスケットが
あちこちで買いためた本の重さに悲鳴をあげ、持ち手が切れた。
慌てて、安めのコロコロカートでも買おうとカバン屋さんを探すも
こんな時に限って見当たらず、結局ショルダーを2つ肩から提げつつ
大きなカゴを両手で抱えながらの移動....(泣)
いかにも田舎から出て来た変な子になってるよー、と泣きそうに
なったけれど、幸い東京という街はちょっとやそっとおかしいくらいでは
みな見向きもしない。ありがたいやら寂しいやら。。
そのスタイルで地下鉄を乗り継ぎ、神保町へ。
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この町に来たら、本当は丸一日あっても時間が足りないのだけど、
今回はぐっとこらえてよそ見をせずに「
東京堂書店」へ向かう。
この威風堂々たる立派な本屋さんの3階にある「地方小リトルプレス」
コーナーに、「フォレミ」を1号から置いていただいている。
自分だったらとても畏れ多いようで近づけずにいただろうところ、
「追分コロニー」Sさんの取り計らいで実現できた。
このコーナーを担当されているのが、神保町で、地方の小さな本を
長く紹介してこられた「書肆アクセス」(07年閉店)のHさん。
地方で出版する人にとっては神様みたいな人。
まだ直接ご挨拶する機会がなかったので、ドキドキしながら
売り場を訪ねる(アポナシとは、失礼だなぁ。)
早速コーナーまで行ってみたら、いました、いました、
見覚えのある顔が、その他、大御所の方々の冊子に混じって、
ちんまりと、それはそれは肩身が狭そうに。。
それを見ただけで、また一気に汗が噴き出してきて、
本日2度目の動転グルグルタイム。
これだけ格式あるきちんとした本屋さんの、しっかりと作られた
棚のなかに混ぜて頂いているのを目の当たりにすると、
なんとまあ大胆不敵なことを、と、あらためてその場から飛んで
逃げ帰りたい思いに駆られ、(実際、階段まで行きかけたのだけど、汗)
それではお世話になってる方々にあまりに失礼、と、深呼吸してキャッシャーへ。
そこに運良くいらしたのがHさん。ハジメマシテ、と声をかけたら
あらまぁ、いらっしゃい!と、気さくに相対してくれた。
ナンダカ、モウ、ホントウニアリガタク、イヤ、スミマセン...と
口ごもる私を前に、「きれいな本だと思いますよー」と、
涙が出そうなことを言って下さる。
その場で2号も預かってくれて、軽井沢のことなどを少しお話。
著書などを通じて想像していたとおりの、温かい飾らない方だった。
ここに置いてくれるということは、商品価値云々ということではなく、
おそらくHさん流の"小さな芽"に対する応援や励ましの想いからだと
わかるのだけど、それは本当に大きな励みになることは事実。
その厚意を今は有難くいただいて、いつの日か、きちんと価値として
恩返しができたらいいなと思う。
こうしたやりとりを通して、Hさんだけでなく、あちこちでフォレミを扱って
くれている皆さんに、あらためて、泣きたいような感謝の気持ちが
込み上げてきた。ずっと、忘れてはいけないキモチ...。
近くに積まれていた浅生ハルミンの近刊を買おうとしたら、
「そうそう、さっきちょうどサインしていってくれたのよ」と、
思いがけずラッキーな巡り会わせに、ホクホクして、お礼を伝えて、店を出た。
その後は、いつも立ち寄る古書店などをいくつか覗いたあと、
「さぼうる」隣の「
ギャラリー福果」で開催中の「
二月空」の写真展へ。
静かなモノトーンの世界に触れて、グルグルをトーンダウン。
静かに見えるけれど、本当は沢山の言葉を秘めているような、
独特の世界感を放つ「二月空」。
小さな旅の終わりの夕暮れに、あまりにもぴったりな...。
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2日間で買い占めてしまった本・雑誌・小冊子は数知れず。
結局は、これさえあればいいのだな、私は。
これからしばらくは、ガス欠ならぬ活字欠にならずにいられそう。
春のようだった世界から一転、軽井沢駅に降り立てば
身を切るような冷たい風に、一気に現実に引き戻される。
そうだった、、こうだった。。。
だけど、ここが、私の帰る場所。
大雪が降ろうと、山が火を噴こうと(!)、
私の日常が繰り返される、愛しいところ__。