11月末、今年初めての本格的な雪と同時に今季の営業を終了してから、あっという間にひと月が過ぎてしまいました。
このブログの場で、きちんとお知らせもできていないままでしたので、「お店はまだやっていますか?」という問合せもいくつかいただき、申し訳ありません。
昨年あたりから、手元のスマホで簡単に操作できるSNSの手軽さにはまってしまい、ブログの更新がまばらに。
twitter や instagram では、ちょこちょこと日常のよしなしごとを綴ってはいますが、やはりSNS はあくまでSNS。
空き時間にいじれたり、即座に反応をもらえる楽しみもたしかにあるのですが、どうしても断片的・表面的な言葉や内容になってしまい、ひとつの考えや感情を、「書く」という行為を通して立ち止まってゆっくり掘り下げてみるということが、以前に比べてどんどん希薄になっているように感じます。(もともと思いつきの感情だけで走ってしまうタイプなのに、それがますますとなると… 。)
来年はもう一度このあたりのこと(SNSとの付き合い方や、「どの場で、誰に、何を伝えたいのか」など)整理して見極めたいと思っているのですが、今日はひとまず今年一年のことを簡単に振り返っておこうかと。
(あくまで私個人にとっての、ですが)今年2016年は、これまでと較べて少し「風向きが変わった」一年でした。
具体的にいえば、ちょうど去年の今ごろからゴソゴソと動き始めていた地元・北軽井沢から発信するフリーペーパー(今風にかっこよく言えば「ローカルメディア」!)の発行に携わるようになったこと。と、それに付随して広がった人間関係や、これまでとは違った視点など、もろもろをひっくるめての「風向き」です。
フリーマガジン『きたかる』は、昨冬から活動が始まり、春、夏、秋、と、これまでに3号を発行することができました。
『きたかる』の目的は、私自身が愛してやまないここ北軽井沢の隠れた魅力(場所、歴史、人も含めて)の発掘と発信です。
北軽井沢暮らしが10年を過ぎる頃から、どこかで本格的に手をつけなくてはいけないことだと(勝手に)思いを強くしていたところだったので、そんな機会が舞い込んできたのは、とても嬉しくありがたいことでした。
実際に作り始めるにあたって、尊敬すべき才能にあふれたメンバーと出会えて、この一年でぐっと濃密な時間を過ごせたこともとても大きな変化でした。
小さなお店の店主&フリーのライターという立場的に、組織や集団というものに属さず、ソロでの活動がしばらく続いていたこともあって、ひとつのチームを組んで何かを作る楽しみも、久しぶりに味わうことができて。(本来、私はきっとこっちの場所のほうが合っているのではないかとも思います。)
そして、取材や製作を通じて、ただ暮らしていてもなかなか出会うことのなかった、北軽井沢に住むひとや、この場所に縁あるひととも、少しずつですが接点を持つようになり、距離が近くなったり、幅が広がったり。あらためて、ここにはこんなに個性的で面白いひとがたくさんいたのか、とびっくりさせられてばかりでした。
移住してきてこれまでの10年間、人づきあいよりも大自然のなかで暮らせることにばかり喜びや楽しみを求めていて、それもそれで楽しく今でも気持ちの大半を占めてはいますが、一方で、人と交わることで知ること・見えることの大切さにも、ようやく気づけたような気がしています。
けれどもちろん、人と交わるということは楽しいばかりではなく、厄介だったり面倒なことも運んできます。
今までは、森の中の小さな小屋で、自分の気の合うひとたちとだけ、気の合う話をして笑っていればよかったのに、突然、思いもよらぬ考えをぶつけられたり、聞きたくなかった話も耳に飛び込んできたりします。
ときどき、「あぁ、この居心地のよい場所で気楽にしていたかったなぁ。調子にのってひょこひょこ出て行くんじゃなかったなぁ、このおっちょこちょいめ… 」と思ったこともありました。
でも、逆を言えばそういう経験こそ、この場所での私の暮らしに足りなかったものなのかもしれません。
この山麓の村に、天国のように爽やかで美しい6月と、地獄のように長く凍える2月があるように、ある場所で生活するということは甘さも酸っぱさも苦さもある。
ただただ美しくてきれいな場所や土地なんて、きっとどこにもない。
苦さや酸っぱさも味わった上で、それでもやっぱりここが好きなんだ、と言えたときに、また違う景色が見えてくるのかもしれない。
実際、今もまだ真っ只中の渦中にいるので、偉そうなわかったようなことは言えないのですが、少なくとも去年の年末に見えていなかったものが、一年後の今はうっすら見えるようになっている。
だから、来年以降のこれから、どんなふうな景色が見えるようになるのか、今はすごくシンプルに楽しみでなりません。
そんなふうに楽観的に思えるのも、やっぱりここ北軽井沢という土地が、人間のちっぽけなあれこれを笑い飛ばしてくれるようなおおらかさと、とてつもないパワーを秘めているからだと思います。
少々思うようにいかないことや悩むことがあっても、雲の切れ間から目の前にドーーーンと浅間山が姿を現せば、モヤモヤなんて一瞬で吹き飛ばしてくれる。
この大地の力は、ほんとに最強の味方です。
うしろにこんなでっかい存在がついていてくれるのだから、ちょっとくらい失敗したってヘマしたってどうってことない、どうにかなるさ!と。
浅間山には、「おいおい、自分の能力や努力の足りなさを勝手にこっちに押し付けんなよ。甘えてんじゃねえ!」と怒られて、来年あたり一発どかんと来ちゃうかもしれませんが!
こんなふうに少し風向きの変わった一年。
もうひとつ同時に、特に店をクローズしてからこのひと月に考えていたことがあります。
それは、居場所から外に出てみたことと、矛盾しているような、でも並行してあることでもあるのですが、外に踏み出してみたからこそ、自分の居場所__つまり「麦小舎」という場所を、あらためてもう一度、組み立て直してみなければ… ということです。
それについては、もう長くなってしまったことだし、また次回(たぶん新年明けたら?)... 。
やっぱりときどきはこうして、思いを書き留めておくことも大事だな。
きっと、後から振り返ったときのためにも。
日々のことも、ちょっとずつまたこちらに戻していこうと思いますので、これからもたまに覗いてみてもらえたらと思います。
それまでの間の日常や北軽井沢の風景は、よければこちら▼をご覧ください!
https://www.instagram.com/asakomugi/
それでは、2016年も、無事に、健康に、おおむね楽しく笑って過ごせたことに感謝しつつ。
みなさまもお元気で、よい年をお迎えください!
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