ブログにゆっくり日々のことを綴りたいと思いつつ、初夏から梅雨と、目まぐるしく毎日が巡っていく。
毎日のようにここで日記をつけていた頃が懐かしいな。
あの頃と今で、何が変わってしまったんだろう、、、と考えながらも、その答えを見つける間もなく、一週間が過ぎ、ひと月が過ぎ。
そうは言っても、先月6月は、山や森が一年でいちばん美しい時期。
駆け足でも、最近のもっぱら日記がわりになっているInstagramを振り返りながら、記録を残しておきましょう。
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入梅直前のよく晴れた日曜日。
釣りに行きたいYと、山歩きがしたい私。
折衷案として、早朝からいつもの湖で釣りをしたあと、お昼ご飯を兼ねて近くの低山に登ることに。
いつもの湖とは、斑尾高原にある希望湖。
湖周辺は「信越トレイル」トレッキングコースとして、整備されている。
湖の脇に登り口がある毛無山。頂上まではほんの30分足らず。
飯山市の街並みと、その向こうに志賀の山々が見える空き地のような山頂で、ホットサンドを焼いて食べる。
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その数日後。
長野原町役場の方にお誘いいただき、今度は目の前の浅間の裾へ。
今、町では、浅間北麓をジオパークに、という運動とも並行して、町営浅間園から山へと入るトレッキングルートの整備に乗り出している。
町長や環境省の方が下見に行く機会に、「きたかる」編集部として、私とカメラマンのミナちゃんで参加することに。
ほぼ平坦なルートと聞いていたけれど、鬼押出し園を見晴らす溶岩地帯までの最初の登りはかなり急峻。置いて行かれないようにがんばった。(このところ少しずつ山歩きしておいてよかった!)
溶岩の上に立って見下ろす北軽井沢は、樹海のなかにポツポツ人家。あんなに広大に見える牧草地や畑もまだまだ大地のほんの一部。
そこから浅間を正面に森の中を左に巻いていくと、やがてぽかーんと景色が開ける。
「溶岩舞台」と呼ばれる、噴火の火砕流の影響で平らに埋め尽くされ、まだ草木もまばらな台地。
山側の端には、溶岩がせり立った岩壁になっていて、その向こうにいつもよりぐんと大きい浅間山。
「月に降り立ったみたいなところ」だと聞いていたけれど、本当にそんなふうだった。
人間と、まわりの自然のスケールが違いすぎて、おかしな感覚になる。
火山が怖いとかどうのという前に、ただ圧倒される。
こんな景色は、国内でも珍しいんじゃないだろうか。
そこから台地を緩やかに下って、最後はあちこちに溶岩樹型が残る林間を歩き、ぐるりと一周して園に戻る。
稀少な植生がある自然公園であることや、防災の面で、なかなかすぐにとはいかないかもしれないけれど、ここに歩けるコースができれば、それだけで大きな魅力になる。
余計な人工の施設はいらないから、この風景だけをただ見て、感じられるコースになったらいいなあ。
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6月上旬。
来軽した母と、志賀高原から渋温泉へ。
初日は、ほたる温泉からサマーリフトで前山湿原に登り、四十八池までの散策。
梅雨入り直後で、高山の花もちょうど春と夏の端境期なこともあり、ハイカーもほとんどいなくてのんびり歩ける。
このあたり、母は学生の頃に友人と、冬は家族や父とスキーに来た以来だと、当時の思い出を話しながら歩く。母も一時期のように足が痛い時期じゃなくてだいぶ歩けて良かった。
四十八池には終わりかけの水芭蕉とワタスゲがちらっとだけ咲いていた。
夜は渋温泉一泊。
以前、Yと外湯巡りをしたときは、熱くて入れず仕舞い。リベンジに臨んだけれど、やっぱり一ヶ所入るのが精一杯だった。宿の内湯すら熱すぎてしばらく水でうめないと入れない。
夕食後、蛍が見られると聞いて川向こうまで。ちょうどよい条件の夜だったようで、けっこう飛んでいた。これだけの数を見たのは初めてかもしれない。
翌日は、奥志賀方面へ。
片道30分ほどゲレンデを登り、しなの大木を見にいく。
長野県の天然記念物にもなっているしなの木は、想像以上に堂々たる姿で、森の中にひとり、いた。
大きくて良いものを見たときのスーッとした気持ちになる。
子どもの頃とちがって、同じこの場所に、母ともう一度来ることはたぶんないのだろうなと思うと、ちくりっとする。
でも、今、一緒に見られたのだから、それでいいのだと思い直す。
いかにも熊がいそうだから、大きな声で(それでなくても十分大きな声のふたりなのだけど)歩いた。
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Yの休みの日曜日は決まって雨。
珍しく予報では晴れと出た2週間前、また山へ。
四阿山に行く予定だったが、片道3時間以上という行程に、夏バテ気味の私の体力が心配になり、高峰高原〜黒斑山ルートに変更。
登山口に朝8時。すでに結構、登山客の車が停まっている。梅雨時に「ちょっと行って来られる」ということで、みんな考えることは同じか。
何組かのグループと抜きつ抜かれつしながら登り道。麓は快晴だったけれど、山の上はガスの中。
40分ほどで到着する浅間山(前掛山)ビュースポットのトーミの頭でも、後方の小諸の街並みは見えるが、前方の山頂は真っ白の海。
これも山にはつきもの。逆に白い海の上をふわふわ浮かんでいるような気分を楽しむことに切り替えて、黒斑山頂を通過、その先の蛇骨岳まで。
群馬・嬬恋側は見晴らし最高。ここでお昼ごはん。
最近、山ごはんに凝っているYが準備してきたのは、チャーハンの具材セット。バーナーと折り畳みフライパンでちゃちゃっとパラパラのチャーハンを作ってくれる。
山シェフがいてくれて、ありがたい。
食べている間に、蛇骨までガスに覆われ始め、小雨もポツポツ。慌てて帰路へ。
もうすっかり眺望は諦めて、下だけ見て黙々と歩いていたが、帰りのトーミの頭に着いた瞬間、嘘のようにさあっと霧が晴れ、目の前にドカンと浅間のてっぺんが現れた。
少し早く通り過ぎても、遅くなっても、見られなかった。ほんの一瞬の空の急変。
居合わせた人と、口々に「よかったですねー!」と喜び合う。
ここから見る浅間は大きな丼をぽこんとひっくり返したようなかたち。
見られたことはもちろん嬉しいのだけど、平面的でのっぺりしていて、銭湯の富士山を見ているよう。
それよりも、眼下に広がる湯の平の窪みが、翡翠色をした大きな湖みたいにきれいで、吸い込まれそうだった。
前掛山の左の裾の向こうに、北軽井沢の大屋原の採草地「鹿の踊り場」がはっきり見えた。
このまま、前掛山を突っ切って、まっすぐ下っていけば、今日のうちに北軽井沢まで帰れるだろうか。
健脚な昔の人(祖父が浅間山を登ったりしていた頃)は、そんなふうに巡ったりしただろうな。
(今、前掛山頂は立ち入り禁止。)
思いがけず眺望にも恵まれ、いったんは諦めたくせに「やっぱり眺めがないと登る意味がないよねー」とフクフクしながら下山。
温泉に立ち寄って帰っても、おやつの時間までには戻って来られる。
山が近いって、嬉しいことだ。
今度は秋にまた行こう。
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バタバタしていると言いながら、案外あちこち出かけてたんだ。
山行き日記になってた。
月末は、次号(7月発行)の「きたかる」の原稿に四苦八苦する。
うまく書けたかどうだか、いまだに自信はないけれど。
雷がなって、梅雨明け間近。
もうすぐ短い夏がやってくる。